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1997年4月19日 〜 7月13日 [終了しました.] ギャラリーA
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中西泰人氏の手紙 3月1日付け |

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佐藤 様:
こんにちは,中西@月尾研です.
先日おっしゃっていた,フォーラムで行われているようなディスカッションをWWW上でというお話しですが,友人にコンタクトを取ってみました.
私の友人で建築や都市計画に携わっている人間は2人しかいないのですが,その2人の共通した反応は
・話の内容がよくわからない.
・ゼネコンに勤務しているので,何らかの形で磯崎アトリエやビジターズに参加されている方々と将来に仕事をする可能性があることを考えると実名を出して意見することは出来ない.
・議論に参加するほど,時間の余裕がない.
ということでした.
名古屋大学時代の月尾研のOBの方にも1人メールを出して見たのですが,返事がまだありません.
少し私の中で,この企画に関してはっきりしていない点が出てきたので,何かしらの答えを頂けたらと思っています.
//---以下,質問です.
人工生命的な都市シミュレーションを行うにあたっては,その都市の中に住んでいる「エージェントの相互作用」をプログラムとして記述する,もしくはそのプログラムを作成するプログラムをGPもしくはGAによって記述するということになります.
GPなどによって学習させるといっても,事前に行動の種類を決めておいてどういった状況でどの行動を選択するか?ということを学習させるにすぎないので,都市の中でエージェントはどのような行動を行うか?ということは,シミュレーションのプログラムを作成する人間が,「都市とは何か?」ということをどう捉えているかによって変わってきてしまいます.
自分なりに「都市とは何か?」ということが分かっていないので,初心者なりに,いろいろと本を読んで見ました.
現時点での私の理解は,「技術の発達と経済の変化が,新たな分業および新たな階級をもたらし,その結果,支配被支配構造としての社会構造が新たな階級闘争によって変化し,支配階級の秩序としての都市の歴史が作られてきた」というものです(どうでしょうか?).
都市(秩序)を形作る力の源が,権威や軍事力,資本,そして知へと変化しようとしている現在において,都市を語るのであれば,情報技術の普及による社会構造の変化に言及しないというのも何だなと思っています.
ネットワーク社会が,場所や時間,所属する組織や職業,性別,年齢といった社会的な階級を超えて,「相互作用」を行うようになる社会であるとするならば,MirageCityが現実になる可能性のある海に浮かぶ島として実在しようとしている事,フィジカルなプランニングへと投影しようとしていることが,ユートピアを,階級闘争の帰結としての都市の一つとして,WWW上で語ることと,ずれが生じているような気がしてきました.やはりユートピアは「どこにも無い」バーチャルなものなのでしょうか?(自分でも少し混乱してきましたが…)
また,プログラムを書くにあたって,現実的な問題点もあります.新しい技術に伴う新たな社会の階層構造の創発といったことは,人工生命モデルの理想ではありますが,現時点の研究レベルではまだ到達できていません.
となると,都市のシミュレーションを行うにあたって,社会のヒエラルキーを事前に組む込むか,ほぼ均一な住人による都市を考えるか?ということに行き当たります.
前者は猫と鼠の世界を,後者は鼠だけの社会を考えるというようなことになります.どちらにしても,「都市とは何か?」ということをもっと理解できていないので,GPにしろGAにしろ,どういう行動の選択肢を用意するべきかということを決められずにいます.
少し,佐藤さんの知識で分かりやすく「都市とは何か?」ということを教えて頂けませんでしょうか?
では.
中西 泰人
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