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はじめに
入場料
展示作品 1
展示作品 2
海市について




計画/経緯
ANY会議/ユートピアをめぐる言説
ヴェネツィアビエンナーレ/海市計画コンセプトパネル
展覧会について(会場構成




1. プロトタイプ
2. シグネチャーズ
3. ヴィジターズ
4. インターネット
ウェブページを通じた展覧会への参加
DWF形式によるAutoCAD図面の参照
フォーラムのページ
参加作家
カタログ
 
1997年4月19日 〜 7月13日 [終了しました.] ギャラリーA





入江経一氏のメモ


>内容
visitor 's island(しま)はグラフィック・ワークステーションをつかってリアルタイムにインタラクティブな3D環境を描くオープンシステムと,それに基づいて製作される実際のスケールモデルとで表わされるプロセスの,テンポラリーなセクションである.

しまの(都市的な?)環境は12人のvisitorによって連歌的に形成され,これらのメディアによって提供される.しまの環境生成は,visitorによるrealworld-inputと,連歌的形成からくるdata inherent dynamics によっている.

こうしたvisitor 'sislandは,デザインとインプリメントの双方に関わる応用的なプロジェクトでもある.

>環境

しまは「asian nations」という,より広い「ワールド」のなかに含まれている多くの「サイト」群の中の一「サイト」である.このサイトは複数のvisitorによってシェアされている.これらのhierarchyは現実世界にくらべてはるかにダイナミックな対話性をもっている.

発生の時点において,しまは物理的には海上に作られた白紙と考えられる.そこには地割りの線は引かれていない.しまは,それ自体としてはform-lessであり,いくつかの属性を持っている.

しまはそのプロパティのなかに上位(asian nationの理念など)のコンテクストを遺伝的に継承している.社会的.都市論的.etc.

一方,しまはそこに構成されているサブ・レベル(ロケーション群)のプロパティによっても特色づけられている.その内容はあらゆる種類のデータ,アルゴリズムを含むことが出来る.それらは書き換え可能であり,他のvisitorのアクセスによって変化するプロセスにある.これらの内容の変化は,当然しまの上位レベルのプロパティの変化もひきおこす.
各visitorはしま内にいくつかのロケーション群(建築,その他)を創造する.それらのプロパティは他のvisitorにもシェアされており,アクセス,モディファイが可能である.

>しまのフレーム(簡単なアウトライン)

発生の時点において,しまは「プロトタイプ」計画がもつアイテム,各ロケーション群,リンク群をデータとして引き継いでいる.それらのアイテムは実体ではなく,自由に検索可能な記憶,いわばmirageCity/データベースのリストとして構成されている.

データベースとは,そこに集められたデータの明白なセットである必要はなく,むしろある種の手段によってアクセス可能なデータを含んだ概念としてのフレームワークである.その意味で「データベース」なる言葉は個人的なノートブックから,都市のようにそれ自体の内容をともなう特定の環境にも適用する事が出来る.

mirageCity/データベースのもつ以下のような特徴によって,12人のvisitorの構想は単にばらばらで無関係なものの集積あるいは並置とはならない.
mirageCity/データベース自体はホモジニティをもち,可変的なものである.しかし「プロトタイプ」時点ではある特定の構成,たとえば次のようなものとして階層化されている.

→本土との関係.
→行政,商業,コンベンション,住居,海上住居,運河,等のロケーション群.
→それぞれのロケーションのプロパティ.(客家,四合院,天壇など)
→各ロケーションのもつリンク群.

この特徴的な構成は,visitorにとってはあまり気がかりなものとはならない.なぜならvisitorの行為は,これらのアイテムの階層的リストに自由に新しいアイテムを加えるからである.
また,visitorはアイテムの階層レベルを変更することができる.また,必要のないアイテムを削処怩キる事ができる.むろん,無視することも.visitorがしまに新たに構想するロケーションは,こうして自動的にデータベースとしての「プロトタイプ」を「visitor:1」に更新する.

「プロトタイプ」型キャビネットのなかにあったデータを整理して,「visitor:1」型キャビネットのなかに構成し直す.新しいキャビネットの形がvisitor:1による都市の特定の構成の表象.古いキャビネットもデータもまったく残っていないという極端な例(爆破案)から,古いキャビネットをそっくり保管して中のデータだけを変える,古いキャビネットを変容させる,など多様な方法がありうるが,visitorのなんらかの行為が自動的に「visitor:1」のキャビネットつくりだす.

こうしてしまの物理的なステイタスはその時点で「visitor:1」となっても,データベース「プロトタイプ」は記憶として保存される.過去のステータスはいつでも色々なフォーマットで閲覧が可能であること.

このような構成の可変性は,しま全体の都市的構成のプライオリティを均質化する.たとえば,一般にプライオリティが高いと思われている都市インフラである道路,エネルギーネットワークなどと,低いと思われている個別の建築の関係など.

 >ロケーションの特性

位置:
各ロケーションの位置は基本的に自由に配置,再配置できる.もし,限定があるとするならば,上位のレベルから遺伝的に継承した特性との関係においてである.(たとえば場所をしまとして限定するなど.)これらは各計画の決定にゆだねられる.この特性は新しく配置するものも,以前から受け継がれたものも同様.

大きさ:
各ロケーションの大きさは基本的に自由.もし,限定があるとするならば,上位のレベルから遺伝的に継承した特性との関係においてである.これらは各計画の決定にゆだねられる.この特性は新しく配置するものも,以前から受け継がれたものも同様.

内容:
一つのロケーションの内容は,複数のサブアイテム,リンクを含む.たとえば
 (建築:各部門:各部屋) あるいは
 (建築:スキン/ボリューム:テクスチャー)
 (道路:車道,歩道,ストリートファニチャー,照明,橋,etc.)

しかし,あらかじめこうしたいくつかのロケーション/サブアイテム間のリンクは「プロトタイプ」から与えられている.これらをどんなフォームでどこまで決定するかは,計画の解像度の問題であり自由である.これらのリンク群はvisitorの行為によって,暫時新しく書き換えられる.

解像度/変化のダイナミクス:
各visitorの作業が進む中で,参照された前アイテムはそのまま,あるいは新しいリンクの中へ生き残ってゆく.一定期間の間に一度も参照がない場合は,自動的にシュリンク,あるいはぼやけてゆく.こうして,コンピュータモニターのなかでは,フォーカスの解像度がシャープであるほど,アクティブな場であることが示される.
制作模型では色彩の変化などが利用される. 

>「連歌」的関連/シソーラスとクロス・リファレンス

具体的なリンク
visitorが意図する,しないに関わらず自分のロケーションとして扱うアイテムは過去の記憶(海市データベースの中)との関係を持つだろう.したがって,新しい構想と記憶の間に「連歌」的関連をもたせる(それがvisitor'sの基本特性の一つ)には,時間的,空間的な双方に対して,アイテム間のリンクを設定してゆくことが必要になる.これはvisitorのレベル(それが要望されているが)でつくられる.

意味上のリンク
各アイテムはユートピアとしてのしまに意味のネットワークをたえず作り出す.ロケーションが特定の形態をもてば歴史的なリファレンスをよぶだろうし,ある機能をもてば統辞的関係をうむ.こうしたリファレンスのテーブルが作成されてゆく.visitorの作業は半自動的にこれを行うが,システムオペレータのレベルでも良い.それはvisitor's islandを閲覧する誰にでもブラウズ可能なこと.

>作業の日程

visitorは2週間を各自の作業期間として受け持つ.そのうち初めの1週間は前任者,後ろの1週間は次のvisitorとオーバーラッップする.

はじめの1週間は現在のvisitorの構想の期間とする.同時に前のvisitorがその構想を具体化する期間でもあり,その模型が作られる.この間に前のvisitorとの対話の日をもうける.

終わりの1週間は構想を具体化する期間であり,同時にその模型が作られる.次のvisitorとの対話の日をもうける.