名古屋市立大学大学院芸術工学研究科の小鷹研理研究室では,「からだの錯覚」を中心テーマとして,メディア空間における新しい〈からだ〉のかたちを模索しています.
後期展示では,近年の研究室の成果から,新作を含む四つの錯覚による自己感覚の変容を取り上げます.《頭部解放のためのセレモニー》《ROOM TILT STICK》《不連続窓関数特区》では,小鷹研究室に特有の研究主題(ミニマルボディ・重力変調・三人称的自己)を扱った錯覚空間における「小鷹アヴァター」の体験を,互いに同期する5台のディスプレイ映像を用いて空間的に展開します.これらは,VRゴーグル装着のうえで体験する仮想空間の一人称的体験を,展示空間で鑑賞者が追体験するための,新しい展示フォーマットの提案でもあります.《Desktop XRAYHEADs》は,前面にハーフミラーが貼られた箱の前に座ると,自分の頭部表面を透視して頭蓋骨を確認しているかのように感じられる錯覚を組み入れた,体験型の作品です.