アムステルダムを代表するメディア批評家・理論家のヘアートロフィンクによるレクチャー.ロフィンク氏は,インターネット,BBS(電子掲示板),自由ラジオ,出版など,さまざまなメディアを表現手段として積極的に用いる「メディア・アクティヴィスト」として注目を受けており,ネットワーク文化についての楽観的,傍観的な理論を批判する活動を精力的に展開している.その領域は多岐にわたるものであるが,今回のレクチャーでは,近年の彼の電子ネットワーク論「ネット批評理論(Net Criticism)」の概要を,ジャン・ボードリヤールやポール・ヴィリリオなどの先行する理論を批判的に参照しつつ,さまざまなネットワーク活動の具体例をあげて披露した.まだまとまった著書の邦訳がないこともあり,彼の理論の一端に触れえた貴重な機会であった.
『ICCコンセプト・ブック』(NTT出版,1997)より引用