ICCが1997年4月に開館した際,常設展示として10作品が委嘱制作され,ICCコレクションとなりました.そのひとつである本作品は,身体器官の音を空間内に拡張・変容させていく「知覚による建築」を提示する作品です.無響室という音の反響のない特殊な空間で,身体の奥から発生する自身の体内音とスピーカーから流れてくるリアルタイムに増幅された体内音の二つの音のズレが,身体と思考を分離し,肉体としての身体感覚が消滅して断片化された諸感覚が覚醒していきます.
ICCでは,2000年を最後に展示の機会がなかった本作品の再展示を目標に調査と修復を進めてきましたが,体験者自身の心拍音で体験していただくインタラクティヴ・インスタレーション版の修復には至っていません.そのため本展では,当時体験者が選択可能であった三上の心拍音によるサウンド・インスタレーション版の再現展示を行ないます.
発表当時の作家によるテキストなどのより詳しい情報については,以下のウェブページをご覧ください.
https://www.ntticc.or.jp/ja/archive/works/world-membrane-and-the-dismembered-body/
オリジナル版(1997年)
音構築協力:柏野牧夫(NTT基礎研究所/現・NTTコミュニケーション科学基礎研究所,NTT フェロー)
調査・修復および再現展示(2025年)
作品調査・修復:田部井勝彦*,中川陽介*,上田真平**,沼澤成毅**,伊敷勇琉**,指吸保子***,鹿島田知也***
監修:畠中実
調査協力:高橋仁,斉田一樹(木下研究所),坂本仁明
**:サイエンティフィックつくば
***:ICC