この展示では,マイクに向かって声を出すと,その声に反応して水晶玉のコンピュータ・グラフィクス(CG)が画面上に出現します.その大きさは声の大きさを,その色は声色を反映します.もごもごとこもった音色は「赤」,サ行の子音のような雑音は「青」,そして良く響く声は「緑」になります.画面のCGがねらったものになるように発声してみてください.中でも良く響く声を出すには,笑顔で,おでこの辺りに向かって息をまっすぐ通すようなイメージを持つ必要があります.このように,声をチューニングするために自分の姿勢や表情をチューニングすることができます.
マイクに向かって声を出すと,その声に反応して画面に絵が表示されます.大きな,小さな,高い,低い,などさまざまなトーンの声.また「あー」とのばすだけでなく,「いー」「うー」「えー」と母音を変えたり,「さ」「し」「す」「せ」「そ」,「か」「き」「く」「け」「こ」など,子音〈も変えたりしてみましょう.さらに,つやつやした,ザラザラした,こもった,というように声の表情や音色を変えてみると,表示される絵の色が変わっていきます.よくひびくきれいな声が出ると,表示される水晶玉が緑色にかがやきます.どんな声を出すとどんな絵になるのか,その絵が望む絵に変わるように声をチューニングができるようになるかもしれません.
目に見えず,すぐに消えてしまう声ですが,優しい声,励ます声,温かい声など,声は人を元気にしたり,人を助けることもあります.また,声を聴くと,元気そうだとか具合が悪そうだとか,その人の身体の調子が感じられることもあります.子供だとか,お年寄りだとか,年齢や性別もわかります.演説の声からは話し手の情熱や自信もうかがい知ることができます.
このように多くを伝え,人と人をつなげる役割を担う声ですが,意外と私たちは自分の声を知りません.ヴィデオに録音された自分の声を初めて聴いたときの強烈な違和感は,みなさんも経験したことがあるのではないでしょうか.この作品は,自分の声をさまざまに「見える化」して,声で遊び,声を楽しみ,声に親しむ作品です.さまざまな声を出し,それがどんな反応を起こすか試してみましょう.