ここには「地球を聴く」三つの装置,《Gプレーヤー》《G-Pod》《g-turns.com》が展示されています.それらは,地球のまわりを回っている人工衛星によって収集されたデータをもとにして音を生成しています.音を視覚化する方法のひとつに,音の大きさや持続時間を波形として表示する方法があります.これらのプレーヤーは,人工衛星から得られた標高データをもとにした,地形の断面図のような波形を読み取って音響化しているのです.
たとえば《Gプレーヤー》は,レコード盤に刻まれた音溝をレコード針でなぞることで音を再現するレコード・プレーヤーのように,地球をレコードのようにして聴くことができる装置です.地球を周回する1000以上のさまざまな人工衛星の軌道を選ぶことができ,その衛星の地球からの距離と位置によって変化する音響によって,あたかも地球をなぞっているように音響を聴くことができます.山脈部では音響が激しく変化し,海では高度の情報がないために無音になります.《G-Pod》はその携帯版で,《g-turns.com》では,ウェブから任意に選べる地点間の音を聴くことができます.作家は,これらの作品を製品として販売しているように見立て,作家の名前にちなんだ,架空のBRAND社によるショー・ルームのような空間に,三つのプレーヤーがディスプレイされており,それらは自由に操作して聴くことができます.