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《内在的性質と外在的性質が異なる曲面》 [2021] “Surfaces with Incompatible Intrinsic and Extrinsic Nature”

舘知宏,堀川淳一郎

《内在的性質と外在的性質が異なる曲面》

作品解説

曲面は曲がり具合に基づいて,椀型の曲面(どの方向にも凸/どの方向にも凹),単曲面(曲がった方向の直交方向がまっすぐ.柱面や錐面,接線曲面),鞍型の曲面(ある方向に凸で直交方向に凹)に分類できます.この分類は,曲面を外から見た「外在的」な視点によるものです.

一方,曲面をその曲面上を住むアリから見た「内在的」視点による表現も存在します.曲面上の領域を一周回ったときのトータルの角度θを考えます.内在的な視点による曲面の分類はθ<360°,θ=360°,θ>360°の3種類です.例えば平面上では一周360°ですが,地球上では異なります.北極から赤道まで地球を1/4周し,90°左を向いて東に1/4周し,また左を向いて北極に向かうと,90°回転を3回,すなわち270°回転をするだけで三角形を一周できます.

古典的微分幾何学のガウス・ボネの定理によれば,前者の外在的な性質と後者の内在的な性質は対応することが知られています.θ<360°なら椀型,θ=360°なら単曲面,θ>360°なら鞍型になります.したがって一周がθ=360°を保つ紙はいかように曲げても単曲面にしかならないという主張が導かれます.ところが,「折り」「シワ」という微分不可能な部分を持つ曲面では,この定理を回避することが可能で,内在的な性質と外在的な性質が異なる曲面が作れます.

(舘知宏)

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