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フィジカル・サテライト [2012] Physical Satellite

多摩美術大学×東京大学 ARTSAT:衛星芸術プロジェクト

フィジカル・サテライト

作品解説

Temperature Layer

制作|稲福孝信

芸術衛星INVADERが周回する,高度407[km]という高度は,高さと共に気温が高くなる熱圏とよばれる大気の層(80~800[km])にあたり,そこでの気温は約1000°Cにも達します.この高度では,真空と微小重力のため,空冷や対流による熱の移動が起らず,日照側と日陰側では大きな温度差が生まれます.こうした厳しい宇宙環境における,衛星各6面の温度センサーの値を可視化したパターンを重ねていくことで,様々な表現を生成します.

Solar Band

制作|小島準矢

衛星の6面全面に貼られた太陽電池は,衛星の唯一のエネルギー源となる重要な素子です.芸術衛星INVADERでは,少しでも多くの電力を発生させるため,太陽電池をキューブの全6面に貼っています.宇宙用の太陽電池として良く用いられるGaAs系太陽電池は,変換効率が30%と高く,同じ光を当てたときにより多くの電力を生みだすことができます.ここでは,INVADERの6面それぞれの太陽電池の発電量を,ディスプレイ上の帯の色や太さで表現しています.

Radiation Font

制作|山口崇洋

宇宙放射線は,宇宙飛行士や人工衛星にとって大きな問題になります.ここでは,放射線の流れによって,フォントのアウトラインを崩していくことで,見えない放射線を直観的に感じることができます.宇宙放射線の量は,高度によって大きく変化するため,ディスプレイ上の放射線センサーでの計測値をもとに,高度による放射線の変化をシミュレートしています.INVADERの高度では,宇宙放射線の量は平均で1[mSv/day]と,地上の数百倍もの強さになります.

Geomagnetic Texture

制作|森浩一郎

芸術衛星INVADERには,地球磁場を測定する磁気センサーが搭載されています.地磁気を計測することで,方位磁石のように,衛星の姿勢を決定することができます.さらにINVADERでは,衛星の温度と電力の両方に対する影響を考慮して,衛星の内部に永久磁石を入れて,衛星の姿勢を地磁気の軸を回転軸として回るようにして安定させます.ここではシミュレーションで得られた磁気センサーの時間変化を,モアレ模様で表現しています.

Gyroscope Metaball

制作|大西義人

ジャイロは衛星がどのくらいの速度で回っているか(角速度)を検出するセンサです.iPhoneなどスマートフォンやWiiリモコンなどでも用いられているため,最近はずいぶんと身近なセンサーになってきました.ジャイロは「相対角」センサなので,実際の姿勢を求めるためには,センサーの値を積分しなければなりませんが,ここでは姿勢ではなく,衛星に加わる重力と遠心力の関係を,有機的な球体の動きで表現しています.

Simulation

制作|堀口淳史,INVADER 機体開発チーム

アメリカ合衆国のNORADは定期的に,10cm以上の大きさの衛星の軌道をレーダーで測定し,軍事機密でないものは公開しています.NORADが公開しているデータのフォーマットは,TLEと呼ばれている,衛星のケプラー軌道要素をテキスト形式で記述したフォーマットです.ここでは高度407[km],軌道傾斜角65[deg]を予定している軌道のTLEを仮定して,そこからINVADERの軌道や姿勢,センサーの状態をシミュレートしています.

Interface

制作|菅野 創,井上恵介,成田達哉

各ディスプレイは,ARTSATサーバーから配信中の芸術衛星INVADERのシミュレーションデータを,ARTSAT APIを用いて取得し表現しています.それだけでなく,ディスプレイ上にセットされたインターフェイスに触れることで,インターフェイス内のセンサーからのデータを用いた表現に切り替わります.インターフェイスを手に取って操作することで,衛星の状態とディスプレイ上の表現の関係を,身体的に感じることができるようになります.

ARTSAT API

制作|堀口淳史,橋本 論

ARTSAT APIは,衛星から得られる各種センサデータやステータスデータを,エンドユーザが利用するアプリケーションに配信したり,衛星を操作する各種コマンドを地上局に受け渡すためのソフトウェア群です.ARTSAT APIは芸術衛星INVADERに限らず,さまざまな超小型衛星のデータにも適応できるように設計されていて,衛星データの活用の可能性を,アーティストやデザイナー,そして一般の人々にも拡げていくきっかけになることを目指しています.

アーティスト

展示情報

作品一覧