うしおは,日常生活で発生するシチュエーションや日用品などをモチーフに,自作のマンガやアニメーションなどと組み合わせたインスタレーション作品などを発表しています.本作品はICCのオンライン・アーティスト・イン・レジデンス・プログラムの一環として制作されたものです.うしおは,オンライン上での作品展示という前提から,映像やマンガなど既存の手法を踏まえつつ新たなナラティヴのあり方を探っていくなかで,ウェブブラウザを閲覧する際に一般的に使われる画面スクロール操作に着目しました.ウェブトゥーンなど,縦長にレイアウトされたページをスクロールしていくことで読み進めていくコミックの形式は,スマートフォンの普及とともに一般的になりました.それに対し本作品では,上下スクロールの向きが,仮想3D空間の奥行き方向に割り当てられています.鑑賞者は,作品世界の奥のほうに自らも進んでいく感覚を得ながら,物語が展開していくのを読み進めていくことができます.
制作協力:森浩一郎