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「配置の森の住人と王様」 [2012] ‘Occupants and King in the Configuration Forest’

津田道子

「配置の森の住人と王様」

作品解説

今回,展示される津田道子の作品《配置の森の住人と王様—模様替え》では,女性と男性が,壁と床を黒に統一した空間に,背丈を超える大きな「鏡」を次々と運んできます.カメラに対して斜めに置かれた複数の「鏡」は,その前を横切る彼らを映しこみますが,しかし,よく見るとこの「鏡」の中には何も映しこまない「鏡」がまぎれこんでいます.それに気づいた私たちを挑発するかのように,彼らはカメラの捉える鏡像を巧みに使い,その空間の配置を理解しようとする私たちを撹乱し始めます.

絵画の中に描かれる鏡には,古い歴史と伝統,そしてその発展がありますが,なかでもべラスケスの《ラス・メニーナス》(1656年)は特に有名です.描かれた幼いマルガリータ王女のはるか後ろ,壁に架けられた鏡に,画面の手前にいる王様と王妃の姿がありました.それは鑑賞者の視点がまさに特権的な「王様」の視点に重ね合わされています.

この「配置の森の住人と王様」シリーズは,カメラに映らないものは私たちには見えないという基本的な事実から,カメラの視線が鑑賞者の視線と重なり合っているということを私たちに気づかせてくれます.それと同時に,この作品は,正対する鏡の反射(リフレクション)ではなく,鏡を斜めに置くことで,その空間の配置について想像をめぐらす契機となっています.鏡を自己に向けた反省(リフレクション)のために用いるのではなく,鏡は外の空間へと視野を開く通路になっていると言えるでしょう.

《配置の森の住人と王様—模様替え》2010年
ヴィデオ,HD,16:9,サウンド,カラー,8分5秒,作家蔵
《配置の森の住人と王様—形式論理の不具合 #01》2010年
ヴィデオ,HD,16:9,サウンド,カラー,6分33秒,作家蔵
《配置の森の住人と王様—形式論理の不具合 #02》2010年
ヴィデオ,HD,16:9,サウンド,カラー,2分31秒,作家蔵
《配置の森の住人と王様—森の営みに関する覚え書き》2010年
ヴィデオ,HD,16:9,サウンド,カラー,10分52秒,作家蔵
《配置の森の住人と王様—祝日》2012年
ヴィデオ,HD,16:9,サウンド,カラー,7分4秒,作家蔵

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