投影されている映像の中で動く光の粒は,不規則に明滅しているかのように見えます.しかしこの動きには,一定のパターンが隠されていて,カメラのシャッタースピードを遅くして光の粒を撮影すると,「文字」として解読することができるようになります.この光のパターンは,時間の概念や,可読性の制限,再現時の意図的歪みなどを考慮した,コンピュータ環境下での新しい書体としてデザインされています.
この書体によって表示されているメッセージは,インターネットを含めたさまざまな発信源から集まってきます.幸福な言葉も,猥雑な表現も,すべては抽象的な光として提示されています.鑑賞者は,インターネットという多様で分類困難なソースから得られる,ある意味で不可解/不可視な情報を,撮影という行為をもって解読してゆくのです.
協力:upsetters architects(展示デザイン),RAMPSHOP(ランプ制作)
協賛:住友スリーエム株式会社