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《knowns, unknowns and the irreversible》 [2015] “knowns, unknowns and the irreversible”

平川紀道

作品解説

この作品は3つの要素から作られています.

コンピュータ上のあるメモリ領域で処理することのできない数に達してプログラムが破綻するまで,アルファベットの文字列を生成し続けながら,その中に現われる実在する人名がハイライトで表示されるもの.

26人の女性にインタヴューした映像の各人それぞれにaからzの文字を割りあて,プログラムによって生成されたアルファベット16桁の文字列と対応するように,aからzの映像から抽出された1ピクセル列を並べ直して1画面を再構成し,毎秒60パターンの顔のイメージを生成し続けるもの.

ある点の集まりが,時間とともに飛び散るような不可逆な現象を映像化したものを逆再生することで,最初の瞬間に示された計算結果から初期状態に戻って行く過程を見るもの.

これら3つの要素は,それぞれ自立した作品でもありますが,今回組み合わされて,インスタレーションとして展示されています.これらの作品は,コンピュータ・プログラミングによる高速,精確な計算過程と,それが破綻するまでの時間を1つの長大な不可逆現象として考える〈knowns〉.個人という固有の顔を元にして,実在の誰でもない「人間」という抽象化されたモデルの生成を試みる〈unknowns〉.現実の宇宙だけでなくコンピュータ・プログラムにおいても起こり得ない時間の逆行を映像によって実現し,超自然的な時間の流れを作りだす〈the irreversible〉となっています.

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