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《invertone》 [2007] “invertone”

カールステン・ニコライ

《invertone》

作品解説

空間には,2本のスピーカーが向かい合い,そこから発されたホワイトノイズが空間全体を均質に満たしています.スピーカーの間にたたずむと,ちょうど中間の地点においてノイズが消え,無音がそこを支配します.シンメトリックに相対する各スピーカーから発される逆位相の波形が直接出会うことにより,互いの音が打ち消し合い,一種の「ブラインド・スポット」が出現するのです.

《invertone》は,音の反響を吸収する素材で覆われた無響室という空間で,位相を反転した音の波形が相互干渉することで,音が減衰する現象を体験させるインスタレーションです.タイトルは,「invert」(逆さにする)と「tone」(音)による造語です.この作品では,音が目に見えないものの,周波数による流動的かつ非物質的な〈彫刻〉であるかのように扱われています.周波数は,空気の振動や流体の波紋のように物理的現象として現われますが,ふだんその存在を知覚し直面する機会はほとんどありません.この作品は,音の現象が物理・幾何学的な相互干渉を伴うこと,そこにいかに人間の知覚が関係しているかを示唆しています.また,反復的な音響吸収材とスピーカーというレディメイドの製品で構成されたミニマルな空間は,ニコライならではの美学を雄弁に語っていると言えるでしょう.


協力:ギャラリーEIGEN+ART(ベルリン/ライプツィヒ),ペースヴィルデン スタイン(NY)

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