体験者の視線を視線入力装置によって感知し,それによって描かれる形態を仮想の3次元空間内に生成していくインスタレーションです.
この作品は,1980年代から活動した日本のメディア・アートを代表するアーティストである三上晴子が,1996年にキヤノン・アートラボで制作発表した《モレキュラー インフォマティクス—視線のモルフォロジー》を原型としています.「視ることそのものを視る」,「リアル・ヴァーチュアリティ」というコンセプトから,空間と身体の対応関係を再考しようとしたこの作品は,ヴァージョン・アップをしながら2004年まで世界各地で発表されました.
さらに2011年には,山口情報芸術センター [YCAM]で《Eye-Tracking Informatics——視線のモルフォロジー》として再制作され,仮想空間に生成される視線の軌跡の描画速度が格段に向上し,音響システムは三次元音響に構成し直されています.
本展では,2015年の三上の死去後,山口情報芸術センター [YCAM]がアップデートと修復を行なった最新版を展示します.また,YCAMでの再制作ヴァージョンでは,二人で体験する作品として発表されていますが,今回のICCでは一人で体験する仕様となっています.
*YCAM委嘱作品
オリジナル版(2011年)
コンセプト/ディレクション:三上晴子
テクニカル・ディレクション:伊藤隆之(YCAM)
デヴァイス・デザイン:大脇理智(YCAM)
サウンド・プログラミング:evala
ヴィジュアル・プログラミング:平川紀道
プログラミング・サポート:濵哲史(YCAM)
照明デザイン:高原文江(YCAM)
プロジェクト・キュレーション:阿部一直(YCAM)
共同開発:YCAM InterLab
Eye-Tracking Informaticsの再制作(2017–19年)
テクニカル・ディレクション:平川紀道
デヴァイス・デザイン:大脇理智(YCAM)
制作サポート:三原聡一郎,平林慎
プロジェクト・マネージメント:金子美和(YCAM)
プロジェクト・ディレクション:渡邉朋也(YCAM)
スーパーヴァイズ:伊藤隆之(YCAM)
共同開発:YCAM InterLab
協力:多摩美術大学学内共同研究「メディアアートのための生成するアーカイブ」(久保田晃弘[多摩美術大学],馬定延[明治大学])/多摩美術大学アートアーカイヴセンター
助成:平成29年度文化庁メディア芸術アーカイブ推進支援事業