《遅いミニ四駆》は,身近なおもちゃのレーシングカー:ミニ四駆を,「速さ」ではなく,「遅さ」によって楽しむ作品です.私たちがいま生きている世界は,技術の進歩とともに,さまざまな物事のスピードが速くなっているといわれています.速さを競うことが当たり前のミニ四駆を遅く改造することで,私たちが速さにばかり注目しがちなことに気づいたり,遅くなったことで変わったこと,わかったことなど,遅さの中にどのような価値があるか,考えるきっかけになるでしょう.
《遅いミニ四駆》は,速さを競う遊具としてのレーシングカーを,「速さ」ではなく,「遅さ」によって競うことによって,成長,発展のみを目的化した現在の社会の傾向に批評的なまなざしを向けています.そうした遊びの中で価値の順列を変えてしまうことで,遊具がたんに与えられた目的だけではない,ものの考え方の更新を促すものに変化します.また,いかにレーシングカーを遅くするかのいろいろな改造のアイデアを考える場ともなります.
本展では、《遅いミニ四駆》を実際に走らせることができるサーキットや,過去に行なわれたレース「第2回遅四グランプリ 〜速いはもう遅い〜」に出場したレーシングカーのアーカイヴ展示,さらにやんツーが近年取り組む「脱成長のためのイメージ」というシリーズの絵画作品を合わせて展示します.
「ミニ四駆」は,株式会社タミヤの登録商標です.