AIがこれまでにない新しい音楽表現,ジャンルを生み出すことはありえるのだろうか? 本研究では,ドラムのリズム・パターンに注目し,学習データを模倣して生成するAIと,生成されたリズムの音楽ジャンルを推定するAIを,敵対的に組み合わせて利用する.その上で,ジャンル推定モデルを「混乱」させるように生成AIを学習することで,リズム・パターンとして成立しつつも,既存のジャンル分けに収まらない新しいパターンを生成することを試みた.こうした枠組みが新しいリズム・パターンを生み出す過程から,AIが人の単なる模倣ではない独自の創造性を獲得する可能性について考察する.
(慶應義塾大学 徳井直生研究室 Computational Creativity Lab)