特定の折り線パターンを繰り返し敷き詰めた「折紙テセレーション」を応用・一般化することにより,理論上は1枚の紙から任意の多面体を折ることができます.しかし現実問題として,複雑な折紙テセレーションを手作業で折るのには多大な労力と時間が必要となります.例えば折紙の面の数が数百・数千と増えていったとき,それを手作業で折るのには数時間から数十時間の作業が必要になります.
本作は,自動で折られた折紙テセレーションの帽子です.熱で縮むフィルムの両面にインクジェットプリンタで折紙のようなパターンを印刷してお湯の中に入れると,平たい形状から,あらかじめ計算された立体形状に変形します.帽子は3426個の面で構成されていますが,それを折るのには約10秒しかかかりません.このような技術は「自己折り」と呼ばれています.
(鳴海紘也)