《music(of)score》は,第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロという編成のスタンダードな弦楽四重奏曲だ.
理念としての楽譜は有限な紙に印刷されることで様々な制限を生みだす.楽譜のページをめくる事で演奏は中断されるため,休符の位置によって楽譜のレイアウトは半自動的に決定する.そしてこのページをめくる音は無視できないノイズとして発音される.つまりページをめくる音は,休符の演奏法だ.
この弦楽四重奏の旋律は紙の皺から生み出され,ページをめくる音によって演奏される.これは,図と地という対立を超えて楽譜と楽器が共に鳴り響く,紙と弦楽の四重奏曲だ.
(谷口暁彦)