立方体のブロックや階段などを組み合わせてできた,3次元の迷路のような空間を,キャラクターが歩いて移動しています.ある視点から,ブロック同士がつながっていないように見える場合には,そこを歩いて通ることはできません.しかし,視点を変えることで,実際の3次元空間での位置関係ではなく,見かけ上の位置関係において,離れているブロック同士がつながって見える2点間をキャラクターが歩いたり,ジャンプしたりして移動することが可能です.
モニターに映し出された3次元空間は,実際には画面という2次元平面に投影されています.しかし,私たちはそれを経験的に3次元の空間として,頭の中で組み立て直して把握しています.しかし,その見かけ上の空間が,3次元の空間で起こるはずのものと異なるふるまいをしたらどうなるでしょうか.ここには,3次元空間を2次元で表現する際に生じる錯覚を利用した,言わば「2.5次元」の「だまし絵」空間をコンピュータにおいて実現した作品が集められています.
たとえば《IncompatibleBLOCK》では,ある平面に置かれているブロックの見た目の位置を変えることなく,ブロックと平面の間に別のブロックを配置することができます.また《Constellation》では,点の集合が人の形としてコンピュータに認識されると歩き出したり,点で構成される人や犬といったキャラクターが,いつの間にか別のキャラクターに変わったりします.