IT革命に賭ける

意思決定の早さが命――回数とリターンは比例

――ソニーのブランド力の助けがあって宣伝費をおさえ,インターネットのインフラを使い,コスト管理を徹底し,その分,手数料を下げられる.手数料が安いから,さらに顧客が集まる,という好循環に入ったわけですね.99年10月1日の完全自由化前はどの証券会社でも100万円の成り行き注文で約1万1500円程度の手数料がかかったのに,それをマネックス証券は一夜で91.3パーセントも安くしてしまった.しかし,いかにコストを抑えているとはいえ,価格競争の激しいネット証券の中でも最低水準の現行の手数料で,本当に採算は合うのでしょうか? 99年度は7億9492万円の経常損失を出されたようですが.

──マネックス証券が開業したのが99年4月で,営業開始はその年の10月1日ですから,初年度は経費の立つ期間が12か月で,収入のある期間は6か月しかありません.また,会社をつくると初期は設備投資等コストがかかります.そういう理由で初年度は赤字ですが,いまの価格体系で十分利益化できると考えています.2年目の2000年度には経常利益を出せると予想しています.

――今後,同業他社がもっと安い手数料を打ち出して,さらなる価格競争に巻き込まれる心配はありませんか?

松本──あまりそういう危惧は抱いていません.手数料はすでに十分低い水準だと思います.


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