終わりなき道の標に |
リセットのタイミング 会津――本当にグローバルなルールづくりを進めるためには,英語だけでなく,フランス語も中国語もスペイン語も,多様な言語をすべて視野に入れる必要があると思います.現実問題としては,どこの国の人間でも,お互いに考えを伝えあうために実用的な英語力はもたなければならないでしょう.でも,英語だけでは多分足りなくて,ほかの言葉に対する理解力ももっと上げなければならないと思うんです.そう考えると,日本はますますヤバイなあと慨嘆するしかない. これまで長いあいだお金がなくて,これから先もお金がなく,経済的に厳しいと思われる途上国が,G7やG8などの先進国が規定する枠組みのなかに参入しようとしたときに,どのような問題が起こり,それにどう対処できるか.とくにインターネット上では,どこの人とでもすぐに知り合って,議論が始まる.そこで本当にグローバルに公平な意思決定の仕組みはどうすればできるのか,考えさせられています. これは日本だけの問題じゃなくて,いままで誰も解いたことのない問題でもあるわけです.みんなで一生懸命,巨象を撫でているといった趣かもしれない.眼は開いてるのによくわからない感じがして,これどうなってるんだろうと言ってる. この前もネパールに行ってきて,Eコマースを極貧の国から立ち上げるにはどうしたらいいかという議論をしてきたんです.インターネットの発展にともなって,誰も何も理解していないと思われることが世界中で起きてます.それは個別の問題を解くことではすまなくて,いままで戦後何十年間かやってきた国際開発援助そのものがうまくいってないといったことが背後に厳然とあるわけです.途上国に情報化とか,ITをどう推進すればいいのか. そこにやれIT革命だ,デジタル・オポチュニティだとか少々言ってもどうしようもない.もちろん批判はいくらでもできるし,無理だということも言いつづけられますが,じゃあ,途上国は何にもしないでほうっておいたらそれでいいのかというわけにもいかないでしょう.それに僕はずっとこの3年くらい関わっていながら,実は個別のプロジェクトは何にもできなくて,石井さん流に言うと,ものをほとんどつくっていないのです. 石井――それはフラストレーションたまりますね. 会津――いや,フラストレーションはなくて,なんとか前向きに,全体を通して通用するようなコンセプトをもったメタなプロジェクトにできないかと思っています.アジアにおけるITとかインターネットの全体をどういうふうに見るかということは,ある意味で,いつでもできるかなと思っています.その前にもうちょっとやることあるかなと思っていたんです. |
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