「20世紀音楽」の旅行者

──まず,あなたがキュレーションを行なった「Sonic Boom」展[★1]についておうかがいしたいと思います.「サウンド・アート」展とテーマが重なるところもあると思うのですが.

ロンドンのヘイワード・ギャラリーから依頼されたんです.ヘイワード・ギャラリーはイギリスでも大きなギャラリーの一つで,現代美術を扱う美術館としてはおそらく最も規模の大きいものです.彼らはサウンド・アートの展覧会をやりたいと思っていて,ブライアン・イーノやデイヴィッド・カニンガム,そして私など何人かに声をかけていました.最終的に私のアイディアが取り入れられたわけなんですが,おそらくそれは私が,ジョン・ケージ以降のサウンド・アートと,テクノやアンビエント・ミュージックの発展とのあいだに,ある種の繋がりを見出していたからだと思います.彼らはクラブ・ミュージック以降の展開が,クリスティーナ・クービッシュなど,長らくサウンド・アートの分野で活躍してきたアーティストと近接しているという考えに興味を抱いたんだと思います.

──実際,同展ではテクノやダンス・ミュージックのアーティストもいれば,より狭義の美術畑に属する人も参加していますね.


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