インターネットにおけるアート

ETO Kouichirou
江渡浩一郎

SoundCreatures on the Web (SCWeb)
鯨のコミュニケーションにみられるように中心がなく全体がゆるやかに変化していくシステムを情報ネットワークによって試みるという構想から出発,キヤノン・アートラボとのコラボレーションによりインターネットにリアルタイムで接続されたインスタレーション《SoundCreatures》が1998年秋に東京で発表された.
作品は三つの要素――ネット・ユーザーによるサウンド・パターンの入力,送信されたサウンドを反復するロボットのランダムな接触による音の交換,来場者が指定する音の「感染」――によって複雑でときにダイナミックに変化するサウンド環境を実現した.そして今年新たに制作されたのがインターネット上のみで稼動する作品《SCWeb》である.
ここでは,複数のユーザーが各クリーチャーの視点をとりヴァーチュアル空間を自由に動きまわることで,インタラクティヴなサウンド・コミュニケーションが発生する.《 SoundCreatures 》は,9月のアルス・エレクトロニカ「CyberArts99」に出品される.

    SoundCreatures (Installation with Internet)
    by Kouichirou Eto, co-produced with Canon ARTLAB, 1998
    SoundCreatures on the Web by Kouichirou Eto, co-produced with Canon ARTLAB, 1999
    http://www.canon.co.jp/cast/

SCWeb

SCWeb


CAVE

CAVETMによる仮想空間共有の公開実験

1999年6月2−4日,日本コンベンションセンター (幕張メッセ)で開催された「NetWorld + Interop 99 Tokyo」で,NTTグループ・ブース内に設置された3D立体視可能なヴァーチュアル・リアリティ・システムのImmersaDeskとICC常設展示室内のCAVE 間をネットワーク接続し,仮想空間共有の公開実験を行なった.
今回の実験では,イリノイ大学シカゴ校EVL (Electronic Visualization Laboratory)で進めている,ヴァーチュアル・リアリティ技術,ネットワーク技術の初等教育への応用模索プロジェクト「NICE (Narrative-based, Immersive, Constructionist / Collaborative Environments)」で開発されたアプリケーションを利用し,離れた場所にいる体験者同士が同一の仮想空間の中で植物の成長過程などを学んだり,植物を手渡したりできることを一般の方に体験してもらった.写真でICCのCAVE のスクリーンに投影されている人形は,Interop来場者のアバターであり,Interop会場にも写真の体験者がアバターとしてImmersaDesk に投影されている.
会期中,次世代のコミュニケーション・コラボレーションのあり方として,多数のICC来館者,イヴェント来場者に体験してもらうことができた.

CAVETM

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