InterCommunication No.12 1995
Feature: e-TEXT


Go English
ハイパーメディア社会における自己・視線・権力
浅田彰
大澤真幸
柄谷行人
黒崎政男

SUMMARY
(QT Movie,439KB,5sec.)
この座談会は、浅田彰(経済/社会思想史)、大澤真幸(社会学)、柄谷行人(文
学)、黒崎政男(哲学)という、人文系の各分野から4人が集まり、「インターコ
ミュニケーション」誌が追求してきた、電子メディアやコミュニケーションという
テーマに関して、改めて展望した座談会である。
経済学、文学、社会学、哲学という人文系の人間が集まって、電子メディア問題が
検討される、というのは、工学的/技術的分野の問題が、今日では大きな社会的意
味を持ち始めているということ、文化や社会にとって電子メディアの進展が本質的
問題となってきていることを意味している。
議論は、電子メディアの特質としての〈情報の非質料性〉という点を軸に、情報の
値段の問題、情報量とアクセスの関係、個人とパブリックの距離の問題、情報のリ
アルタイム性などの諸問題が提示され、これと、フーコーやデリダなど、いわゆる
ポストモダン的教説との関係が論じられる。
主なトピックは、<コンピュータと超パノプティコン>、<ヒュ―ムとカント>、
<電子メディア時代のイデオロギー>、<情報資本主義と著作権>、<共通の暗黙
知とコモン・ノレッジ>、<ネットワークと共同著者性>、<グローバルとローカ
ル>、<電子メディアと直接民主制>、<情報資本主義と神の眼>、<「物自体」
とフレーム問題>などであり、通常のメディア論における議論とはかなり異なった
ものとなっている。
この座談会では、電子的ネットワークの存在が、かなり否定的に議論されている。
その議論がインターネットを通じて公開されるというのはいかにもアイロニカルな
事態である。ちょうど、プラトンが文字を<死んだ言葉>として否定しながら、彼
の思想がその文字によって後の西洋文化を規定してしまったごとくに。(黒崎政男)

FULL TEXT


No.12 総目次
Internet Edition 総目次
Magazines & Books Page