ICC

会期:2010年1月16日(土曜)〜2月28日(日曜)

「建築折紙」
舘知宏


《負曲率剛体折紙》2009年

《オリガマイザ》2007年

折紙は,一枚の紙を折ることで多様な形態を作る芸術・文化・遊びであり,近年では日本だけに留まらない世界共通の芸術媒体として,多様な表現が試みられています.折紙はまた,二次元と三次元のあいだで状態が移り変わる動的特性,一枚の連続面という性質,折りによって作られる陰影や空間表現などから,工学デザインにおける新しい手段としても着目されています.ここでは,特にアダプティヴな環境創生のための折紙の設計理論に加え,それに基づいたデザインツールを実装することで初めて完成する「建築折紙」を提案します.人間と環境との関係性の諸条件から折紙のパターンを導きだすというアルゴリズムによって生成される形態に対して,デザイナーが新しい意味や関係性を発見していくという過程を繰り返すことにより,最終的な形態が決定されます.会場では,「立体形状の折紙化」「自由折紙」「剛体折紙」という三つの折紙理論と対応するデザインツール,またそれを用いることで可能となった新しい折紙を展示します.

舘知宏
1982年生まれ/コンピュテーショナル・アーキテクト,折紙工学者.東京大学工学部建築学科卒,同大学院工学系研究科建築学専攻博士課程在籍.日本学術振興会特別研究員.折紙を離散微分幾何的に拡張する数理研究,折紙の新しい表現や工学的応用のためのコンピュテーショナルなデザイン手法の研究を行なう.立体折紙で実現したティーポットは,イスラエル・ハイファのティコティン日本美術館に永久収蔵されている.IPA未踏ソフトウェア創造事業で研究開発した三次元折紙デザインのためのソフトウェアを公開している(http://www.tsg.ne.jp/TT/).

*「オリガマイザ」は,情報処理推進機構の支援を受け未踏ソフトウェア創造事業プロジェクト『三次元折紙設計ツールの開発』のなかで舘知宏が開発・公開したものです.