ICC
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[メッセージ]


[浅田彰 (京都大学経済研究所助教授 ICCコミッティ)]

NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)は1997年にオープンする予定であるが,電子情報時代の科学技術と芸術文化のインターフェイスとなるべきソフトウェア重視のネットワーク型ミュージアムという理念にふさわしく,施設としての開設を待たず,既に1991年からさまざまなイヴェントや出版を通じた活動を積み重ねてきている.とくに,最初の年に行なわれたインターコミュニケーション '91「電話網の中の見えないミュージアム」は,NTTの電話網全体を美術館に見たて,自分の部屋の電話やFAXでそこにアクセスするだけで,世界の最先端のクリエイターたちの作品や活動に触れることができるという,かつて例のない試みだった.NTTインターコミュニケーション '95「on the Web—ネットワークの中のミュージアム—」は,それを,インターネットを中心とするコンピュータ通信の世界にヴァージョン・アップしたものと言ってよい.
そこでは,電話やFAXよりもはるかに豊かな広がりを持つマルチメディア環境の中で,グローバルなネットワークを通じた新しい創造的な対話が繰り広げられることになるだろう.もちろん,オーディオヴィジュアルな情報に関してみれば,回線の容量の限界から十分な精度が得られないとか,ダウンロードに時間がかかるとかいった問題がある.
だが,そうした問題が技術的に解決される日はそう遠くはない.大切なのは,そういう将来を見越して,来たるべきマルチメディア・ネットワークを自在に使いこなすクリエイティヴな想像力を今から鍛えておくこと,また,そのような想像力から生まれる新たな要求を技術の側に投げ返してやることだろう.「on the Web—ネットワークの中のミュージアム—」は,そのための実験に他ならない.多くの方がそれを見守って下さるよう,そして,できることならそこに積極的に参加して下さるよう,お願いしたい.未来のミュージアムはまさにそのような開かれたネットワークの中にこそ存在するからである.


[浅田 彰] [伊藤 俊治] [彦坂 裕] [武邑 光裕]
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