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エマージェンシーズ! 044 
ヒラヤマナツホ「あたらしい街をめぐるいくつかの試み」

2023年6月24日(土)—9月18日(月・祝)

エマージェンシーズ! 044 
ヒラヤマナツホ「あたらしい街をめぐるいくつかの試み」

概要

閑散としたニュータウンの風景の中に,自動でゴルフボールを打つ,作家の自作によるゴルフマシンが,街中や公園やゴルフ練習場などに持ち出され,ボールを打っています.それは,不思議と現実空間に溶け込みながらも,何やら超現実的な光景のように見えます.

ヒラヤマは,自身が生まれ育った多摩ニュータウンをモチーフに制作を行なっています.東京区部の住宅難と地価高騰の解決策として,1960年代末に計画が開始され,現在まで宅地開発が続けられている多摩ニュータウンで,その住人として内側から眼差しを向けて制作された作品は,その場所の状況をアイロニカルに映し出します.

多摩ニュータウンに隣接して存在する複数の広大なゴルフ場,宅地造成のための里山開発,そして,均質化された都市空間の中に身をおいた体験をモチーフに,非人間的な,機械的反復をただ繰り返す機械はヒラヤマの違和感の表われでもあるでしょう.

自身が育ってきた環境に隣接するゴルフ場を,すぐそばにありながら,意識せずに生活していることや,豊かな自然の残る都内でも有数の里山が,住民の反対運動をよそに開発が決定され切り開かれたことなどが,ニュータウンに向けてボールを虚無的に打ち放つゴルフマシンや,工事現場の土を盛っては壊しを繰り返すミニチュアの土木工事機械の,どこか虚無でナンセンスな行為に置き換えられています.それは,ニュータウンという均質空間の中で,自分の所在がわからなくなった体験とともに,生まれ育った場所へのアンビヴァレントな思いの反映となっています.


展示作品

参加アーティスト

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