映像と言葉と音楽による詩を創造しつづけるビル・シーマンによるビデオディスクとコンピュータを用いたインタラクティヴなインスタレーション作品.コンピュータの画面上に並ぶ,断片化された330の言葉のなかから,観客が自由に選択してゆくことによって,一続きのセンテンスが生成される.この言葉の断片のそれぞれは,音楽と映像を伴ったモジュール(構成単位)としてレーザーディスク上に記録されている.一連のモジュールがセンテンスを構成するように再生されることで,一つの詩が創造され,観客は,言葉が映像や音と絡み合い,自らの記憶や思考と反応しあいながら漂い出すという不思議な感覚を体験する.絶えず変化する文脈のなかにあてはめられる言葉は,意味の多義性を明らかにする.展覧会に先立ちICCの「アーティスト・イン・レジデンス」プログラムとして日本語ヴァージョンが滞在制作されたほか,期間中ネットワークを通じて,コンピュータが生成した詩を見ることのできるオンライン・ヴァージョンも展開された.
『ICCコンセプト・ブック』(NTT出版,1997)より引用