オリジナルのプログラムにより,その時間帯にウェブで配信されているニュースのテキストを取得し,文節に切り分け,それぞれの要素を画像検索にかけて得られた画像と付随するテキストが,テキスト・トゥ・スピーチを介したニュース本文の読み上げとともに表示されます.
《全的に歪な行且 —第二—》は,日常に存在する情報や規則をデータ化し,プログラムを通して変形させることで,生活の中で私たちがときおり感じるささいな違和感やずれを可視化していく作品シリーズ《全的に歪な行且》の第二作です.奇妙な響きをもつ人工音声によるニュース,異なる文脈からの画像が変形され,テキストとともに次々と切り替わり現われることで,それらが相互にぶつかり合い,違和感とともにかつてない意味を生み出していきます.やがてデータの切り替えが速くなり,記憶が錯綜していくかのようなモードに突入します…….既存のデータをリソースに自動的なリミックスを行なうこの作品は,異なる語り部の異なる記憶に注目し,それらを攪拌することによって〈創造〉や〈覚醒〉を試みるものと言えるでしょう.
タイトルとなった「全的に歪な行且」は,前作*において「社会的に健全な行ない」というフレーズを文字認識した際,ソフトウェア上で誤変換された言葉に由来しています.
*《全的に歪な行且》(2006).六法全書の文脈を歪めて読み上げるインスタレーション作品.