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《名前たちのキス》 [2021] “WHEN TO KISS NAMES”

布施琳太郎

《名前たちのキス》

作品解説

スマートフォンやSNSを基盤にした現在のコミュニケーションや,新型コロナウイルスの感染拡大にともなう人間同士の距離のとり方など,変わりゆく社会の中で,現在の私たちをとりまく現実のありようもまた変化しています.布施は,これまで親密さを表現するものだった身体的な接触が困難になったこのような状況において,それを新しい関係性を成立させる可能性を持つものだと考えています.

この作品は,昨今のニューノーマル下での生活様式において,マッチングアプリの需要が増えているということに着目して制作されました.たがいにハンドルネームで出会い,本当の名前も顔も知らないまま,オンライン上でだけコミュニケーションを行ない,関係性を構築する人々をモチーフに,ある意味では,名前でしかない者同士による「恋人たちの共同体」のあり方が,どのようなものなのかを考察した映像作品です.

現在のソーシャル・ディスタンスの時代以前から,スマートフォンの登場による人々のコミュニケーションのあり方の変化に着目してきた布施は,現代の極度に情報化した社会において,それに伴って生み出された新しい意識や価値などにもとづく芸術のあり方への関心から制作を行なっています.

初出時にシングルチャンネルの映像作品として制作されたものを,今回ICCでの展覧会では3面スクリーン用に再構成しています.

TOTAL TIME: 20:00

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