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《スペーシャル・ペインティング》 [2021] “SPATIAL PAINTING”

マヌエル・ロスナー

《スペーシャル・ペインティング》

作品解説

現実のICCにそっくりな展示空間内を,巨大な彫刻が,周囲のものを破壊しながら拡張していきます.これは,館内に投影された映像ですが,作品は,現実のICC館内を3Dコンピュータ・グラフィックスで再構築した「ハイパーICC」の中を拡張していくヴァーチュアル彫刻として制作されています.

ロスナーは,現実の建築物のイメージに巨大なヴァーチュアル彫刻作品を合成し,仮想の公共空間での制作を行なうなど,リアルとヴァーチュアルを横断する展示を行なっています.また,インターネット上の仮想のギャラリーの運営をはじめとして,これまでにさまざまなデジタル空間や仮想空間を設計し,デジタル・テクノロジーの発展がアートに与える影響を研究しています.
この作品は,近年制作しているカラフルなデジタル彫刻のシリーズで,コンピューター・グラフィックス特有の超現実的な質感をもったヴァーチュアルな彫刻を,デジタル動画と写真として現実空間に介入させる試みです.現実の展示空間とそっくりなヴァーチュアルな展示空間を作り,現実には存在しない作品を,仮想空間だからこそ可能な,現実空間ではありえないような展示方法で展開し,現実と仮想空間の新たな関係性を表現しています.また,そうした仮想空間における作品制作を通じて,私たちの現実世界とヴァーチュアルな世界との関係性を問い直しています.

今回の展示では,作品は「ハイパーICC」を飛び出し,東京オペラシティタワーの外観イメージに巨大な彫刻作品が合成された様子をウェブから見ることができます.

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