ディスプレイに映る,木馬に乗った女の子が,木馬を揺らし始めると,木馬と女の子はディスプレイの中で静止しているのに,逆に背景の含まれる映像の画角全体が木馬の揺れに伴って大きく左右に揺さぶられます.じつは木馬の一部と思われていた脚の木製部品はディスプレイの前面に取り付けられて固定されているのです.作品名は,木馬の円弧状の脚が,微笑んでいるように見えることに由来しています.
作家の題材にする対象には,ごく日常的な情景が多く見られます.作家は,どこか見慣れたなにげないその情景から意外性を引き出し提示し,わたしたちのリアリティについて問い直そうとしています.