5枚の円盤状のミラー・ディスクが,空間内を浮かんでいるかのように動いている.3台のスポットライトから出力される赤,緑,青の三原色(RGB)が,混色して床面のスクリーンに白色光を作り出す.
ディスクは光を反射して,床面のスクリーンに色のついた影を落とす.それにより,ディスクの詩的な“振り付け”が可能になる.そして,コンピュータ計算によるディスクの重力を感じさせない動きによって,色鮮やかな光と影が同期して動く没入的な空間体験が生み出される.
床面に投影される色のついた楕円は,スポットライトからの光の反射または影として生成される.ディスクが後方に落とす影は,シアン,マゼンタ,イエロー(CMY)の三色に変換される.ディスクの前方には,RGBの光がそれぞれ床に反射される.それをもって,白い光から加法混色の三原色(RGB)と減法混色の三原色(CMY)が作り出される.
ディスクの振り付けは,楽曲と完全に調和し,ディスクの動きと音楽が対話するように展開していく.この楽曲は三部構成で,アイスランドの音楽家オーラヴル・アルナルズが《RGB|CMY Kinetic》のために作曲したものである.第一部は,ディスクの動きに基づいて,各ディスクの空間内の高さが,五つのデジタル楽器を変調させている.続く第二部と第三部は,コンピュータによってデザインされたディスクの振り付けを,より自由に解釈したものとなっている.
《RGB|CMY Kinetic》は,ソナーとソリゲ財団により委嘱され,2015年のソナー・プランタ(バルセロナ)で発表された.その後,韓国・光州にある国立アジア文化殿堂の開館記念展への出品にあたり,モノクロ(K)の要素が追加されて《RGB|CMYK Kinetic》となった.
(アート+コム)
委嘱:ソナー,ソリゲ財団
パートナー:オーラヴル・アルナルズ(作曲),MKT(製作および設置)