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《影はどこにも見当たらない》 [2013] “Nowhere A Shadow”

リヴィタル・コーエン&テューア・ヴァン・バーレン

《影はどこにも見当たらない》

作品解説

《ジ・イモータル(不死者)》では,いくつもの機械がチューブでつながれています.これらはすべて,人間の身体機能を補うために作られた医療機器です.人工心肺装置,人工呼吸器,透析装置,保育器,自己血回収装置,酸素供給器,心電図モニターなどが,ここでは人間不在のまま互いに接続され,それら自体がまるでひとつの生命体であるかのように,作動音を発しながら自律的に塩水(血液の代わり)と空気を循環させる「生体活動」を行なっています.

《影はどこにも見当たらない》では,オオカミがブルーベリーの木々の中を歩き回っています.設定では,この映像を撮影する赤外線監視カメラは,被写体であるオオカミが動きまわることにより作られた電力で作動します.そして映像を全世界に配信することで,それを見る人が絶滅の危機に瀕するオオカミに関心を寄せるよう期待されています.金属でできた構造物でブルーベリーに狂犬病を予防する栄養素を供給するという構想もあり,これにより,動物,植物,人工物,そして外部からそれを観察する人間による共生関係が実現します.

「手つかずの自然」という言葉があります.この言葉から感じられる,人の手が加えられていない状態を尊ぶ姿勢は,人間と自然を対立する二項として捉える西洋的価値観の反映だと言えます.この2作品はどちらも,人間と自然の間の境界が,その対象や状況によって,いかようにも変わりうるということを異なる視点から示しています.

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