《ナチュラル・プロセス》は,絵画作品《A Web Page》と,それを取り巻くプロセスで構成されています.展示室に設置された《A Web Page》は,来場者や周囲の様子も含めてウェブ中継されます.ここでは,デジタル・オブジェクト(画像データ)からアナログ・オブジェクト(絵画)へ,さらにその逆へと変換されるプロセスを通して,インターネットと現実空間における価値の変化を提示しています.
《A Web Page》には,作品を制作していた2003年当時,作家が頻繁にアクセスしていた検索サイト“Google”のトップページが,ブラウザのウインドウも含めて描かれています.作家は,これを“ウインドウ”越しに見る「インターネットの風景画」でもあるととらえていました.作品発表後に登場したスマートフォンによって,現在私たちはどこからでもウェブに接続可能になりました.インターネットは「ウインドウ越しに覗き見る」よりも「常に自分の傍にあるもの」であり,ブラウザよりも特定のアプリケーションやサーヴィスを通して見るものというイメージをもつ人が多いのかもしれません.
《A Web Page》が一般公開およびウェブ中継されるのは,発表以来14年ぶりとなります.再び「ナチュラル・プロセス」に投じられる15年前の風景は,現在の私たちを取り込みながら,どんな風景を形づくるのでしょうか.今回は,2018年のウェブの風景として,Instagram上における「#awebpage」の検索結果が展示要素として追加されています.
《A Web Page》所蔵:グーグル合同会社
絵画協力:稲垣真幸
協力:Rhizome