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《LYMENA》 [2025] “LYMENA”

葉山嶺

作品解説

《LYMENA》は,百匹以上のコウモリたちが生息する「立ち入ることのできない洞窟」と,それを取り囲む森に流れる瞑想的な時間からなる,ゲームエンジンを用いたインタラクティヴな映像作品です.

葉山は,かつてアブラコウモリの野生復帰を手伝った経験から,人間とは異なる感覚世界を生き,異世界を知らせる存在として,特別な思いでこの動物を見つめてきました.

本作において3DCGは,実際には手を加えることのできない自然界の代用として用いられ,従来のゲームにあるような征服や達成といった目的性は取り除かれています.

展示室には,風景がリアルタイムにレンダリングされ映し出されます(本展独自の仕様として、今回はICC常設の三面スクリーンに投影).その中心にある洞窟の入口は覆われており,内部へ入ることはできません.作品の始まりとともに,コウモリが一匹だけ洞窟から外へ飛び出し,以後どこかを飛び続けます.鑑賞者は森の中で目と耳をこらして探すことで,その存在に気づくことができるかもしれません.

展示室の裏の廊下には操作卓があり,鑑賞者はそこで空間を探索できます.その画面は展示室にも投影され,他の観客と共有されます.誰も操作していない時には,ワールド内の複数の定点カメラからの映像が映し出されます.

《LYMENA》の空間は,到達不可能な中心を抱えた構造として立ち現われますが,その「立ち入ることのできない洞窟」の境界の手前に留まることは,むしろ別の関係の可能性をひらいてゆきます.

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