金魚はフナに出発し,1700年間の品種改良を経て今日の姿を獲得した人工生命体であり,完全に愛玩を目的としてデザインされている.捕食者に見つかりやすい色合いや不確かな遊泳能力といった特徴から,彼らの多くはもはや自然環境下で生き抜く力を持たない.そこで彼らの「野生」を取り戻すべく,金魚に逆品種改良を施しフナの姿へと逆行させ,人間の手から解放することを試みる.金魚に投影された人の美意識と時の流れを反転させるこのバイオ政治活動は,我々を再び,かつて繰り広げられた人類と金魚との愛憎劇へと誘うであろう.(石橋友也)
《金魚解放運動》 [2012–]
石橋友也