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「further/nearer」 [2013] ‘further/nearer’

前谷康太郎

「further/nearer」

作品解説

スクリーンには,ぼやけて丸みをおびた形と,黒への階調をもった水平の帯という2種類の明るいオレンジ色の光が投影されています.それらは,その光量を徐々に減少させていきますが,それに伴って2種類の光の輪郭はだんだんとその形状を明瞭にしていきます.光が暗くなっていき,その外側の黒に溶け込み消え入りそうになりながら,光ははっきりとした方形と帯へと変化していきます.またそれが,黒から光量を増していくと,再び光の輪郭はぼやけていきます.

この映像は,作家の自作による装置を用いて撮影されています.それは,レンズを使わずに小さな針穴を光が通ることで映像が写し取られるピンホール・カメラのような構造をもっています.その装置にはヴィデオ・カメラが仕込まれ,暗箱には針穴ではなく,一辺10cm程度の方形の窓のようなものが開いています.そのため,被写体は完全な像を結ばずに,光,色彩,形態という要素に変換,還元されます.この装置に光をあてて,その光源をゆっくりと遠ざけていくと,開けられた窓から入る光の状態が変化し,方形の輪郭や光の肌理が変化し,明度はゆっくりと減少していきます.

この作品では,映像として目に見えている状態の外側に存在する,それを映像として現出させているカメラと光源の関係の変化が記録されています.ここでは,光の距離/明度/形態が関係性をもってリンクしている状況が表現されています.映像を光,色彩,形態という諸要素に還元させることによって,見る対象や見るという行為そのものについて,再考を促そうとしています.

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