ロンドンのピカデリー・サーカスの様子を12時間記録した,監視カメラを思わせる映像が,ウェブサイト(http://www.exhaustingacrowd.com/)に表示されています.ユーザーは,そこに映っている人物,動物,さらには道路やゴミ箱など,あらゆるものをクリックして,そこで何が起こっているかを投稿することができます.
この作品のタイトルは,大胆な文学的実験で知られるフランスの作家,ジョルジュ・ペレックの『パリのひとつの場所を書き尽くす試み』という作品にちなんでいます.ペレックはこの作品で,パリにある広場の一角に三日間佇み,そこで見える車や人,雲など,ふだんは目にとまらないような事柄にあえて注目し,それらをすべて書き残そうとしました.《群衆を書き尽くす》は,ペレックがたった一人で試みたことに,サイトにアクセスした人たち全員で挑むためのプラットフォームだといえます.
イギリスは,世界で最も監視カメラ整備が進んだ国だと言われています.サイトに寄せられる投稿の大半は無邪気なものですが,公共空間における一般市民がつねに監視にさらされていることや,反対に,不特定多数で多くは匿名のユーザーによる監視がしばしばインターネットを介して発生していることも思い起こさせます.
サイトでは,ロンドン版のほかに,オランダ版も選択することができます.
コラボレーション,サイト開発:ヨナス・ヨンゲヤン
委嘱:ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館「All of This Belongs to You」展
ロンドン版|撮影:ニコ・ターナー/謝辞:コリナ・ガードナー,ダン・ジョイス,ヘリカー&ルイス
オランダ版|協賛:Brakke Grond,IDFA DocLab,V2_Institute/撮影:ダーン・クーイス/謝辞:ララ・コーマンス,カスパル・ゾンネン,ヤン・ミスカー,ミシェル・ファン・ダーテル