地方の特定の場所に根ざした風習や,物語,神話などのフォークロア(伝承)をテーマにCGを用いた映像作品を制作をする菅野は,たびたび訪れたことがない土地を読み解くなかでなにか懐かしさのような感覚を感じられる瞬間があると言う.本作は22年初めに奄美大島に移り住んだ妹を訪ね,二人で島をめぐった際のときに曖昧で不確実な記憶と記録をもとに,その島を映像で再構築した作品である.”架空”の島を旅するような映像は,菅野が映像を妹と見たときの会話の録音とともに流れる.そこには,実際に島内に暮らす妹の当事者としての理解と,資料などのリサーチで情報を得た作家の理解が時に食い違う様子が見られ,作家の想像,当事者としての記憶,そして史実的な情報が重なりあってフィクションとノンフィクションの間の現代的な情景を描く.
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