勤務地の池で採取したシアノバクテリアに，三次元的なバブル構造をつくってもらうバクテリア盆栽プロジェクト．このバクテリアは幅1000分の2ミリ程度しかないが，繊維状に長く多細胞成長する．それが網目のように配列しながら増殖しつつ，光合成によって酸素ガスを放出するため，特殊な条件下で泡構造状に成長・膨張する．細胞一層の薄さながら最大直径2cmに達する（今回は多分最大数ミリ）．これは，幅40cmのヒトが一列に並んで直径4kmのドームをつくることに（一見）相当するような「巨大」な構造物だ．時間が経ち，バクテリアが殆ど死滅してもこの構造体はある程度残る．興味深いことに，その残渣物の上で生き残り，再び増殖する際，バクテリアはそのミクロな形態を大きく変化させる．自らが生きた証が，次世代の生存のありようを大きく変化させる．

この現象は,科学者にもまだ知られておらず，バイオメディア・アートとして先行している．そこで，ここではこの現象の生物学的な解析を行っている．（岩崎秀雄＋齋藤帆奈）