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《画像処理の白い陰に隠れて》 [2019] “Behind the White Shadows of Image Processing”

ローサ・メンクマン

《画像処理の白い陰に隠れて》

作品解説

ヴァルター・ベンヤミンの著作に登場する「歴史の天使」が,友人たちに二枚の女性像の写真を添付したメールを送ります.この二つの像は,実在の女性をモデルに作られ,現在でも多くの人が目にするのにも関わらず,モデル自身の名前に言及されることがほとんどありません.すると,リーダー・レディたち(映像フィルムの冒頭にプリントされる,現像時のカラー調整用画像の被写体),レナ(画像圧縮アルゴリズムのサンプル画像の被写体),アリアーヌ(ストック画像/動画サイトのモデル)から返信が届きます.

《画像処理の白い陰に隠れて》は,メンクマンが2018年に発表した同名のテキストから派生して作られた映像作品です.写真,映画,テレビ,そしてコンピュータの画像処理などの分野で用いられてきた標準テスト画像は,それぞれの技術の規格を検証,決定し,さらにその結果としての画像や映像の質にも影響を及ぼす非常に重要な役割を担ってきたにも関わらず,その被写体の多くは匿名的な存在のままです.メンクマンはこの作品で,ベンヤミンが歴史の天使に託して語ったように,画像処理の歴史の中で注目されず,忘れ去られてきた女性たちに光を当て,彼女たち自身の物語を自らの声で語らせようとしています.

タイトル中の「白い陰」は,3Dスキャンの際に隣の物体に遮られたりしてうまくスキャンできなかった箇所が,データの欠損を示す白い領域として表示される現象からとられています.

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