本作は立体音響技術を用いた没入型サウンド・インスタレーションです.Hamakai(ハマカイ)とはアマゾン最後の遊動狩猟民と言われるアワ族が,森での狩猟中に獲物となる動物の鳴き真似をするヴォーカル・コミュニケーションの一種です.近年作家は複数回に渡り現地に足を運んでフィールドワークを行ない,Hamakaiをレコーディングしてきました.同時に,アワ族が直面している違法な森林伐採や,近隣に敷設された製鉄原料の運搬鉄道などの音も記録しました.本作はこうした現在のアワ族の居住空間に併存する多様な音を捉えています.
さらに本作は,文化人類学的アプローチで参与観察を行なう作家自身を客観視するような構造を持っています.本作は全編にわたり父と娘のリビングルームでの会話が中心となっていますが,これはグレゴリー・ベイトソンによる対話形式の表現手法「メタローグ」を引用したものです.自身がフィールドワークで得た知見を嬉々として教える父と,未知の世界を知る娘.会話の最後に娘は参与観察の営みに対する本質的な疑問を投げかけます.
他者の文化を遺すこと,科学的手法を用いて研究すること,差し迫った環境と文化の消滅の課題に取り組むこと….演劇的な手法により,こうした多元的な要素を音の空間に表現します.
声の出演:森永泰弘(父),上田結菜(娘)
立体音響テクニカル・ディレクション:平井哲史(TXA planning)
立体音響エンジニア:Mine-Chang(prime sound studio form)
上演システム:上田真平,伊敷勇琉,沼澤成毅(サイエンティフィックつくば)
レコーディングスタジオ:Espreita o Som LDA Lisbon
サウンドシステム協力:三橋武(株式会社音景舎)
機材協力/チューニング:土肥昌史
制作協力:Jeannine CANTARELLI,Carla KLAJNER,Carolina BRITO,Hugo LEITÃO,Casilla La Pajarita,Uirá Felippe GARCIA,上田浩二,CIEBA(Centro de Investigação e de Estudos em Belas-Artes),Arari,ISPN