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《メトロノームと無響室のための作品》 [2009] “A Piece for Metronome and Anechoic Room”

前林明次

《メトロノームと無響室のための作品》

作品解説

室内の椅子に座ると,目の前のメトロノームがリズムを打っています.それに合わせて別の場所,空間で録音されたさまざまな音の出来事が重なったり,消えたりを繰り返し,それに連動して照明も変化します.目の前のメトロノームに重ねられる音は,観客が聞いているのとまったく同じ位置関係にメトロノームを置き,さまざまな空間において録音したものです.そのためメトロノームを中心に周囲の空間が移り変わっていくような感覚が与えられます.

この作品が設置されている無響室は,部屋全体が音の反響を吸収してしまう素材で囲まれています.わたしたちは通常,空間の広さなどを音の反射によって把握しているため,それが排除された空間である無響室では,メトロノームの音に「現実感」のなさや「不自然さ」を感じるでしょう.さまざまな空間で録音されたメトロノームの音は,周囲の空間の反射音を含んだ音響として録音され,それがバイノーラル録音と,それをスピーカーによって再現する立体音響技術によって,実際にメトロノームの置かれた無響室の空間で擬似的に再現されます.それによって,無響室という「現実感」のない空間と,立体音響技術によってもたらされる擬似的な「現実感」のある空間という,2つの空間性が対比され,場所や空間について,私たちがどのように「現実感」を認識しているのかということを考えることができます.

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