With: Kathy HILL, Charles STEIN
Text: Gregory BATESON
Except: “Through The Looking Glass,” Lewis CARROLL

《Why Do Things Get in a Muddle?》においてヒルは，時間の方向性と物事の秩序の関係を探求する素晴らしい方法論を用いて，グレゴリー・ベイトソンのメタローグのコンセプト―「自分自身の問題が反映された，人々のあいだの問題についての会話」―についての実地調査を行っている．不思議の国のアリスとその父親のあいだの「混乱」についての会話が，もともと逆向きに実行された登場人物の動きを反転させるという手の込んだテクニック―奇妙に現実離れした物体性のうちに意味を宙吊りにする二重の逆転―を通して組み立てられている．正確な振付とカメラの動きが反映された，主観的な認識とその意味論的パラドックスについての子供の寓話の驚くべきプレゼンテーションは，秩序というものがいかに―原因というよりは―言葉や物語，歴史の組み合わさった線形性によって成立しているものであるかを示しているのである．

《Why Do Things Get in a Muddle? (Come on Petunia)》1984