Additional Camera/Production Assistance/Still Photographer: Kira PEROV
Engineering: Tom PIGLIN
Produced in association with the American Film Institute, Los Angeles:
The Contemporary Art Television (CAT) Fund, a project of the WGBH New Television Workshop,
The Institute of Contemporary Art, Boston; and ZDF, Mainz, West Germany

ヴィデオ作品中の代表作の一つである《おのれは如何なるものかを識らず　I Do Not Know What It Is I Am Like》は，超越性と自己認識を探求する一つの叙事詩を思わせる作品である．ヴィオラはこの作品について，「われわれみなが内に宿す動物的意識の状態とそれへのつながりについての個人的な探求」であると述べている．タイトルはリグベーダからとられたもので，その精神的なサンスクリットのテキストは，出生に始まり，意識，原初の存在，直観，知識，合理的思考，信仰を経て，〈物理的な法則を超えた〉超越的な現実に到達するための前進について書かれたものである．力強く象徴的な映像と寓話的なエピソードを展開しながら，ヴィオラは，動物的意識のシャーマニスティックな幻想によって具現化される〈他者〉を意識することを通して，自己認識をドラマティックに探求している．ヴィデオは「Il Corpo Scuro（闇の体）」，「鳥の言葉」，「感覚の夜」，「錯乱のドラム」，「生ける炎」の5つの部分からなり，自然の世界から神聖な儀式に至る，合理的思考と直観的思考の形而上的な旅を描いている．ヴィオラの主観と客観，見ることと見られることについての詩的な研究，そして自己の認識についての探求は，フクロウの瞳孔に映るヴィオラのイメージという，印象的な視覚的メタファーのうちに象徴されている．

《I Do Not Know What It Is I Am Alike》1986