アート+コムならびにライゾマティクスリサーチは,メディア・アートとクライアント・ワークとしての空間デザインやエンターテインメントの領域を結びつけ,広くメディア・アートが基盤としてきたテクノロジーによる表現を社会の中で機能させる実践を行なっているという共通点を持つ組織です.アーティストやデザイナー,プログラマー,プロダクト・デザイナーといった職能,あるいは,建築,数学,工学などの多様なバックグラウンドをもつスタッフを擁した,学際的なチームワークによる集団であること,また,リサーチ(研究開発)セクションを設け,そうした活動の中から,技術的な開発やアップデートを自身の手で行ない,新しい芸術表現を生み出していくということでも共通しています.
また,アート+コムとライゾマティクスはキャリアとして20年近い差がありますが,ライゾマティクスの中心メンバーたちは,アート+コムのこれまでの仕事や作品の数々に刺激を受け,触発され,それを受容してきた世代にあたります.そして現在では,お互いにその仕事に注目しあうような関係となっています.
本展は,両者の作品の特徴を,プログラムによる光や映像と動きや運動をともなう実空間での物質的な現前の融合ととらえ,そこから「光と動き」という要素を抽出しました.それらの要素を,二組のチームがどのように表現しているかを,「ポエティクス(詩学)」,「ストラクチャー(構造)」をテーマに二つのスペクタキュラーな作品において展観します.