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《バイナトーン・ギャラクシー》 [2011] “Binatone Galaxy”

スティーヴン・コーンフォード

《バイナトーン・ギャラクシー》

作品解説

数十台の中古のカセット・レコーダーが壁に掛けられて音を発しています.しかし,レコーダーの中のカセット・テープにあらかじめ録音された音が再生されているわけではありません.そこから聞こえてくる音は,レコーダーという,装置自体がいまそこで発する音なのです.装置のモーターが駆動し,カセット・テープを走行,再生させる機構の挙動に伴って発される音を,装置内のカセットに装着されたマイクロフォン(圧電センサー)によって取り出し,増幅することで音を発します.

この作品は,カセット・レコーダーという,技術の進歩に伴い使用されなくなっていく旧式のテクノロジーをオリジナルな音響発生装置へと作り直し,装置のもつ機能的な可能性を再考しています.本来,レコーダーという装置と,カセット・テープという記録媒体は,どちらか一方だけでは機能しません.しかし,この作品では,カセット・テープに事前に録音された音の代わりに,マイクロフォンが捉えたレコーダーのリズミックな機械音とカセット・テープのプラスチックのケースの中の音響特性を聴くことができます.それは,カセットの中の音響と機械それ自体の声を聴くことで,すでに消費されてしまったテクノロジーのもつ,もうひとつの意義を明らかにするのです.

なお「Binatone」は英国の電子・音響機器のブランド名に由来しています.

(ZKMコレクション)

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