プレスリリース

PRESS RELEASE

2008年

プレスリリース 2008年11月18日
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ライト・[イン]サイト―拡張する光、変容する知覚
Light InSight
会期:2008年12月6日(土)―2009年2月28日(土)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーAほか



開催概要
会期:2008年12月6日(土)―2009年2月28日(土)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーAほか
開館時間:午前10時―午後6時(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(月曜が祝日の場合翌日),年末年始(12/29―1/5),保守点検日(2/8)
入場料:一般・大学生500(400)円/高校生以下無料
    *( )内は15名様以上の団体料金
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
助成:オーストリア文化フォーラム,モンドリアン財団,グレイトブリテン・ササカワ財団
特別協力:カール ツァイス メディテック株式会社,ブリティッシュ・カウンシル
協力:FACTセンター(英国),ジェサップ製造会社(米国),株式会社オーエス
住所:〒163-1404 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
京王新線初台駅東口から徒歩2分
お問い合わせ:フリーダイヤル 0120-144199
E-mail:query@ntticc.or.jp
URL:http://www.ntticc.or.jp/

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] は,日本の電話事業100周年(1990年)の記念事業として1997年,東京/西新宿・東京オペラシティタワーにオープンした文化施設です.ICCは「コミュニケーション」というテーマを軸に科学技術と芸術文化の対話を促進し,豊かな未来社会を構想していきます.



概要
このたび,NTTインタ−コミュニケーション・センター [ICC] では,「ライト・[イン]サイト―拡張する光,変容する知覚」展を開催いたします.

この展覧会は,自明すぎてあらためて振り返られる機会の少ない「光」という存在の過去,現在そして未来の可能性を,「知覚」という切り口を通してアートと科学を超えた視点から新たに照射するものです.

光は,わたしたちの日常,また身体や知覚のあり方に大きく関わるだけでなく,この世界のさまざまな事物の存在や形態,見えを可能にしている根源的なメディウムといえます.地球上の生命や環境は,太陽光に依存することで生態系を形成・維持しています.また人間にとって光は,生存のみならず精神的な指標として,宗教,科学,哲学的な意味を与えられてきました.とりわけルネサンス以降の光学の発達は,カメラ・オブスクーラを介した遠近法の確立を皮切りに光学装置や視覚のシステム,そして新たな芸術表現を生み出しました.続く啓蒙の時代において,光が知識および世界の可視化へ向かう隠喩とされたことも忘れることができません.

19世紀には光が電磁波の一部として再定義され,電気の登場以降現在にいたるまで光技術は自然/人工光,可視/不可視にかかわらず進展し,日常のあらゆる場に定着しています.アートにおいては20世紀以降,光が素材やメディウムとして活用され,光技術に挑戦するアート&テクノロジーの実験が各時代で展開されました.そして21世紀を迎えた現在,光技術は光学機器からデジタル機器へと延長され,ナノやバイオテクノロジー,通信,映像分野を筆頭に,エンタテインメント,教育,医療などさまざまな現場で応用されています.

そのような状況の中,私たちは光のもつ潜在性を,未来に向けていかに発動させることができるのでしょうか.この展覧会では,拡張し続ける光技術によってもたらされる私たちの知覚そして身体認識の変容を,概念・現象・プロセス的に独自のヴィジョンとともに体験させる実験的な作品やプロジェクトを紹介します.

既存の視覚システムを参照しながらもそれを批評的に突き崩していく作品,光を通した逸脱的な知覚へと開いていく作品,光をかつてない方法で可視化する作品…….いずれも観客の知覚や思考とともに生じるダイナミックな体験そのものが「作品」として浮上します.

「ライト・[イン]サイト」展は,観客自らが光を介して「見ること,視覚,観察(sight)」の意味を問い直し,それによって新たな「洞察(insight)」を獲得していく契機となるでしょう.



展示予定作品と出品作家の略歴
エイリアン・プロダクションズ
《思考プロジェクター》2007年
発明家のニコラ・テスラ*が1933年に語った,「体験者の思考を(網膜を通して)撮影するカメラ」,という実現されなかった構想に触発されたインスタレーション作品.体験者は,自身の眼の表面と眼底の高解像度画像を,正面の壁に拡大されたプロジェクション映像として見ることになる.この画像は,アーティストがあらかじめ制作した映像アーカイヴとオーヴァーラップしながら左の壁にプロジェクションされ,またその画像がインターネットでストリーミングの後,人々のコメントが追加された上で右の壁にプロジェクションされる,という3段階のプロセスをたどる. *ニコラ・テスラ:1856年-1943年.クロアチアに生まれ,NYで活動した発明家および電気技師.交流電流,ラジオ,無線トランスミッター,蛍光灯,空中放電実験などの多数の発明,また無線送電システム(世界システム)の提唱で知られる.多くのメディア・アーティストから尊敬を集める存在. マルティン・ブラインドル (1963年オーストリア,ウィーン生まれ,在住).ノーベルト・マット(1962年イタリア生まれ,ウィーン在住),アンドレア・ソドムカ(1961年ウィーン生まれ,在住),オーガスト・ブラック(1975年米国生まれ,サンタバーバラおよびメキシコ在住)により構成.1985年の結成以来,新たなメディアやテクノロジーに対する理論的,実践的な探求を,メディア・パフォーマンス,インタラクティヴ・インスタレーション,ネット・アート,ラジオ・アート.サウンド・アート,写真など多様な表現により展開.各人のソロ活動や他のアーティストや科学者,技術者とのコラボレーションも多数.本展が日本での初の紹介となる.http://alien.mur.at/ ヨーゼフ・ボイス
《カプリ・バッテリー》1985年
黄色く塗られた白熱電球にレモンをソケットによりつなぐことで,光エネルギーを理念的に提示したオブジェ作品.レモンの酸性成分が微弱な電流を発生させ,バッテリーとして電球に光が与えられる.電球の表面からは見えないものの,エネルギーとしての「光」がそこに発生していることを,観客は想像的に体験することになる.太陽光を浴びて育ちながら,劣化の途上にある果物・レモンと電球とのカップリングは,組み合わせの意外性や生々しさとともに,生ものと人工物という違いを超えて変換され移動する,エネルギーの存在を印象づける.ボイス最晩年の作品のひとつ.「カプリ」は,レモンの生産で有名なイタリア,ナポリの近くの島.国立国際美術館収蔵作品. 1921年ドイツ,クレーフェ生まれ.1986年デュッセルドルフ没.ゲーテやルドルフ・シュタイナーの理念を引き継ぐアーティストとして,50年代よりドローイング,彫刻,オブジェ,インスタレーションなど幅広い活動を展開.熱をはじめ,様々なエネルギーの流動をベースとした世界観で,生ものや不安定なものを素材とした作品を制作.また「社会彫刻」という彼の提唱した概念に代表されるように,経済や環境を含め,広く社会のあり方の変容を推進する活動を行なった.日本では1984年に西武美術館にて大規模な個展を開催. エヴェリーナ・ドムニチ&ドミートリー・ゲルファンド
《カメラ・ルシーダ:三次元音響観察室》2008年
暗い空間の中で眼が慣れてくると,中央にある水で満たされたアクリル性の球体の中に,音から変換された繊細な光の揺らめきが微かに見えはじめる作品.さまざまな周波数の音波群が,水に含まれる化学的な媒質を通過する際に生じる「音ルミネセンス」現象(音波の通過により冷光が発生すること)により,直接光へと変換され可視化される.構想段階では科学者にさえ不可能と思われた現象を,日本,ドイツ,ロシア,ベルギーの科学研究所とともに開発.タイトルにある「観察室」は,起きているミクロな現象が,特定のマージナルな状況の時のみかろうじて可視化されるものであること,また計測装置の精度の限界のため,現象を科学者でさえ把握できないことを意味している.本展では,音圧他を調整できる最新ヴァージョンを展示. エヴェリーナ・ドムニチ(1972年ベラルーシ,ミンスク生まれ),ドミートリー・ゲルファンド(1974年ロシア,サンクトペテルブルク生まれ),ともにアムステルダム在住.物理学や化学,コンピュータ・サイエンスなど,科学に潜在する新たな可能性にアートの立場から独自の視点を通して挑戦し,可視化する活動を続けている.2002年には国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)での滞在アーティストとして日本で《カメラ・ルシーダ》のリサーチを行なう.本作は,2007年度の文化庁メディア芸術祭にて優秀賞を受賞.http://portablepalace.com/ ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニ
「オーラ・リサーチ」シリーズ
《ニーチェが洗礼を受けた教会 》1997年
1930年代に旧ソ連の科学者キルリアン夫妻により発明されたキルリアン写真*によって,ドイツの歴史的人物がかつていたり,本人の失踪によって主をなくしながら現在も誰かによって維持されている部屋(いずれも,一種の空白状態にある空間)などを撮影することで,肉眼や通常の光学写真に見えないその人の痕跡(オーラ)を可視化させようとする「オーラ・リサーチ」シリーズ.この作品は,不可視のものを可視化するというコンセプトのもと,思考や精神的な放電も写真として記録できると考えられていた19世紀以降の科学技術の歴史的側面やそこに存在したユートピア思想にあらためて光をあてるとともに,オルターナティヴなメディアを通した別の世界の見えを開示する.今回はその中から,ニーチェ**が洗礼を受けた教会の内部を撮影したキルリアン写真を,同じアングルから撮影した光学写真と並べて展示する.
*物体から放射される放電現象のようなものを,高電圧交流電流装置を使って写真にしたもの.最初の発見は,ニコラ・テスラとされている.
**ニーチェは1844年牧師の息子として生まれ,後に「神は死んだ」と宣言するなど,西洋文明を乗り越えようとする意志をもつに至った.
ニナ・フィッシャー(1965年ドイツ,エムデン生まれ)とマロアン・エル・ザニ(1964年ドイツ,ドゥイスブルク生まれ),ベルリンおよび札幌在住.90年代前半より,廃墟や忘れ去られた場所や空間に漂う「ゴースト」的なものを題材に,その社会・歴史的な意味を探求していくプロジェクトを映画,写真,インスタレーション等など様々なメディアを通して展開.日本では90年代半ばより,東京都写真美術館をはじめ個展やグループ展,映画撮影や上映など多数.現在札幌市立大学准教授.http://www.fischerelsani.net/
藤本由紀夫
《PRINTED EYE(LIGHT)》 1987―2008年
体験者が自分の眼に向けて網膜に弱いストロボ光を発することで,文字の残像を作品として体験させるもの.今回は「LIGHT」(光)という言葉が,光による非物質な体験として体験者それぞれの網膜上に知覚されることになる.眼球に直接文字を焼き付けることで成立する,他者とは共有できないパーソナルな体験としての作品.藤本は「眼をとじても,みえてしまい,やがて消えていく文字.それは音を聴くことににている」と述べている. 1950年名古屋生まれ,大阪在住.1970年代よりエレクトロニクスを使用したパフォーマンス, インスタレーションを行なう.音を形で表現したミニマルな作品や,その作品を使ったパフォーマンスなどを通して,空間において各体験者がいかに知覚を開き,受容していくかを作品として提示. とりわけはかなく流動的なものの知覚化は,同時に体験者を自身の知覚の潜在的な可能性に直面させることになる.10年間毎年続けられた一日だけの展覧会「美術館の遠足」(西宮市大谷記念美術館,1997-2006),ヴェネチア・ビエンナーレ(日本館,2001)など,国内外で活動を展開. インゴ・ギュンター
《サンキュウ―インストゥルメント》1995年
暗い空間の中で発されるストロボ光を浴びることで,体験者のシルエットが壁面に一時的に焼き付けられる作品.人々が無邪気にシルエットと戯れ始めるという開放的な側面をもつとともに,1945年に広島に原爆が投下された直後の閃光,そして瞬時のうちに消えてしまった人々の残したシルエット(ヒロシマの影)を,観客に疑似的に体験させることが意図されている.タイトルは,ギュンターによれば,広島への原爆投下という惨劇があったことが抑止力として働き,冷戦下において核戦争の危機を回避することができたことを意味するという.「被爆50周年記念展 広島以後」(広島市現代美術館,1995)にて展示.本展では,1895年のレントゲンによる放射線の発見が,それ以降の社会にもたらした貢献や問題(X線写真,原爆,原発等)を振り返るとともに,とりわけ20世紀における光を考える上で,私たちが忘れてはならない原爆投下という事実をあらためて喚起する. 1957年ドイツ,ハノーファー近郊生まれ,NY在住.1980年代後半より,当時一般的にアクセス不可能だった軍事機密地域や環境汚染地域の人工衛星画像を入手し,マスメディアに提供するジャーナリスト的な動きをアートとして展開.世界の経済や環境に関する様々な統計データを光る地球儀上に可視化した《ワールドプロセッサー》(1988),難民という存在を可能的なリソースと見なす《難民共和国》(1996)など,社会学的視点を取り入れた作品やプロジェクトを発表.日本では,P3 Art and Environmentでの3回の個展(1990年前後)など展覧会多数.http://www.republik.com/ ベングト・ショーレン&アーダーム・ショムライ=フィシェルwithウスマン・ハック
《WiFiカメラ・オブスクーラ》2006年―
通常使用されているレンズをともなった光学的装置としてのカメラと異なり,空間内のWiFi(無線LANによる電磁波の周波数)のパターンをリアルタイムでキャッチし画像化するカメラ.ユーザーがその場で無線LANネットワークにアクセスすることで変容する電磁波が,カラフルな色のパターンの変化により可視化される.光は電磁波の一部だが,この作品は高周波の電磁波(不可視光)の可視化によって,現代の都市や公共空間における見えない「情報のランドスケープ」を顕在化する試みといえる.「WiFiカメラ・オブスクーラ*」は,身近な材料で自作可能なものであり,12月7日にはアーティストたちによる制作&撮影ワークショップを開催.
*カメラ・オブスクーラ:「暗い部屋」の意.小さな穴を通して四角い箱に光が入ることで,部屋の内部に逆転した外の映像を映し出す装置およびシステム.10世紀以降に知られていたが,ルネサンス以降に発達し,遠近法を生み出す.現在のカメラの原型となっている. アーダーム・ショムライ=フィシェル(1976年ハンガリー,ブダペスト生まれ,在住),ベングト・ショーレン(スウェーデン,クリシャンスタ生まれ,ストックホルム在住),ウスマン・ハック(1971年米国ワシントンDC生まれ,ロンドン在住).反応環境を扱う建築家でありインタラクション・デザイナー (アーダーム,ウスマン),プログラマー(ベングト)の顔をもつメンバーで構成されるこのチームは,とりわけ日常で入手可能な製品を改造したインタラクティヴなシステムをDIY(Do It Yourself)として人々に広めていくことを目的に,実験的なプロジェクトを数々展開.これまでの活動に,「ローテック・センサーズ&アクチュエーターズ」プロジェクトや《リコンフィギュラブル・ハウス:ハッキング・ローテック・アーキテクチャー》(ICC,2007)など.
アーダーム(http://www.aether.hu/)/ベングト(http://www.automata.se/)/ウスマン(http://www.haque.co.uk/
ヨッヘン・ヘンドリックス
《光(アイ・ドローイング)》 1992年
《残像(アイ・ドローイング)》 1992年
アーティスト自らが視線入力装置を使用することで,視線の動きによって実現させた「アイ・ドローイング」シリーズから,非物質的な現象としての光を描写した作品,および光のドローイング直後に体験された残像を描写した作品を展示.通常,世界や対象を捉えるためにランダムかつ無意識的に漂う視線が,ここでは意識的かつ構築的なものとして扱われている.手を介さずに眼から直接生み出されるドローイングは,見るという行為そのものを視覚化するものであり,見るということと表現をひとつのプロセスとしてつなぐものとなる. 1959年ドイツ,シュリューヒテルン生まれ,フランクフルト在住.人間や動物の身体に由来する情報的,物質的なデータ(視線や涙,鳥や犬の死骸など)の別のものへの変換,通常ありえないものの計測や蓄積(砂粒のカウントや大量の涙をためたボトルなど)など,独自の世界観でロジカルかつ即物的なアプローチをとるコンセプチュアルな作品やプロジェクトを展開.作品はいずれも抽象的かつミニマルに見えるが,様々な人々を巻き込み,試行錯誤のプロセスを経てようやく実現されるものである.本展が日本での初の紹介.http://www.jochem-hendricks.de/ ミシャ・クバル
《space-speech-speed》1998年
暗闇の中で回転する3基のミラーボールから反射される光が,空間全体を撹拌している.光は,スライドプロジェクターから発されるアルファベットの文字であり,それが回転するミラーボールを介して空間全体へと延長されることになる.空間(Space)の中で光としての文字がコミュニケーションを誘発しつつ(Speech),空間内のダイナミックな動き(Speed)をともなって循環していくこの作品は,近代的な静止的かつ整合的な空間性や単一的な「リフレクション(反射,省察)」という概念から逸脱し,つねに変容し多重反射に開かれた空間を出現させる.そこでは観客も変容をもたらす一部であり,同時に変容を引き受ける存在となる.国際ライトアートセンター(ドイツ,ウンナ)収蔵作品. 1959年ドイツ,デュッセルドルフ生まれ,在住.1980年代初頭よりスライドプロジェクターによるインスタレーションや公共空間におけるサイト・スペシフィックなプロジェクトなどを通して,光というメディアのもつ空間および社会における動的な可能性に一貫して取り組む.インスタレーション,写真,パブリック・アートなど多彩な活動では,人々の身体や知覚,また関係性を再創造するアクティヴかつインタラクティヴな「光」を喚起しようとする.1999年東京国立博物館で初の現代美術プロジェクトを実現,2008年10月28日-12月25日まで豊田市美術館にて個展を開催.http://www.mischakuball.com/ アンソニー・マッコール
《You and I, Horizontal》2006年
空間に入ると観客は,光による被膜のような非物質的な立方体に遭遇する.この立方体は,微細なミストにプロジェクターからの光をあてることで実現されたものである.壁面には,ラインによるドローイングが見た目には変化がないほどゆっくり描かれ続け,それが空間においては,次第に形態や空間性を変容させる三次元の非物質的「彫刻」としてあらわれている.観客は一種触覚的にも感じられる光の「彫刻」の内外を自由に行き来することで,異なる知覚体験に開かれるとともに,「作品」の一部として「彫刻」そして空間性に影響を及ぼしていく.70年代初頭の実験を,現代の機器によってインスタレーションとして実現. 1946年英国,セントポールズ・クレイ生まれ,NY在住.60年代末より映画というメディアの可能性を空間的に拡張する実験を屋内外で展開,光による三次元的な「彫刻」の可能性を追求し注目を集めるが,その構想に当時の技術が追いつかず,30年弱もの間,実現を断念.2002年以降,最新の機材(微細な粒子を発生させるミストマシン)を得て,当時構想していた空間的な映像による彫刻的インスタレーションを実現し世界各地で活躍.近年の作品に,《Breath》《Between You and I》そして今回展示される《You and I, Horizontal》がある.本展が日本での初の紹介となる.http://www.anthonymccall.com/ ナムジュン・パイク
《キャンドルテレビ》1980年
旧式のブラウン管型テレビ受像機の中身がくりぬかれ,そこにたたずむ点灯されたろうそくがポエティックな印象を醸し出す作品.マスメディアを体現する装置として1950年代以降世界中の人々や空間を照らしてきたテレビが,ここでは空となり,おだやかなろうそくの光がテレビのフレームの影を空間へと投げかけている.たえず情報を発信するテレビから,空気とともにゆらめく光を放つテレビへ.それは人々を禅問答のような機知や瞑想的な気分へと遊ばせていく.空の四角い箱からろうそくが光を発するこの装置はまた,カメラ・オブスクーラのラディカルな逆転形ともなっている.原美術館収蔵作品. 1932年韓国ソウル生まれ,2006年米国マイアミ没.50年代よりNYを拠点に活動し,ヴィデオ・アートの創始者として注目される.フルクサスへの参加を含め,実験精神とユーモアをともなった技術へのアプローチで世界的に活躍.80年代以降ヴィデオ・インスタレーション,都市を衛星中継で結んだパフォーマンス・イヴェント,90年代にはレーザーを駆使したインスタレーションを展開.日本での展示は1984年東京都美術館の大規模な個展(1984),ワタリウム美術館での個展(1993, 2006/没後)など多数. 高谷史郎
《optical flat》*2000年
直線に並んだ金属のシャフトに突き刺さるかのように上を向けて設置された二台の液晶ディスプレイ上に,テーパーのついたグラスファイバー製の拡大鏡が置かれている.ディスプレイには映像が高速度で出力され,その上のテーパーグラスファイバー**(視神経の束のような構造を持ち,形態も眼球を想起させる)を介し拡大または圧縮され,フラットかつシャープに表示される.記憶のメタファーとしての膨大な画像が,空間の直線性であらわされた時間軸における「現在」としてディスプレイ上で瞬間瞬間に高解像度で可視化され,観客は,あたかも記憶から機械の「眼」により出力される光学・視覚的な映像を受容する(映像を受容する「眼」の内側から見る,という逆転した図式)経験をする.国立国際美術館収蔵作品.
*「optical flat」:一般的には,光波の干渉を利用して光学レンズなどの平坦さを計測するために,光の波長の数十分の一までの精度でその表面を磨き上げたガラス製の計測機器を意味する.
**オプティカル・ファイバー・テーパー:上下のサイズが異なった形態をもつオブジェのようなもので,上下のピクセル数が同じであるため,オブジェの上下で映像サイズが拡張もしくは拡大されて伝達される特徴をもつ.
1963年生まれ.京都在住.1984年より京都を拠点とするアーティスト・グループ「ダムタイプ」に創設メンバーとして参加し,映像やインスタレーションを担当する.90年代後半よりディレクションに関わるかたわら,個人名での活動を開始,とりわけ写真や映像など,視覚装置や視覚のメカニズムをコンセプチュアルに可視化していく作品を発表,ソロでの作品に《frost frames》(1998),本展展示の《optical flat》,パフォーマンス《 Die Helle Kammer(明るい部屋)》(ドイツ,2008)など.また中谷芙二子,坂本龍一をはじめコラボレーションも多く,近作に坂本龍一とのコラボレーションによるインスタレーション作品《LIFE - fluid, invisible, inaudible ...》(山口情報芸術センター委嘱作品,2007,同年ICCに巡回)がある.http://dumbtype.com/

関連イヴェント
○シンポジウム 「ライト・[イン]サイト:拡張する光,変容する知覚」
2008年12月6日(土)

◇セッション1「視覚システムと知覚における<光>」
午後1時―3時

パネリスト:岡田温司[西洋美術史・思想史/京都大学大学院教授],インゴ・ギュンター[本展アーティスト],エイリアン・プロダクションズ[本展アーティスト],ミシャ・クバル[本展アーティスト]
司会:四方幸子[本展キュレーター]
カメラ・オブスクーラに由来する光学・視覚のシステムは,光を整合的かつ静止的なものと見なすことで,ルネサンス以降,美術,建築だけでなく社会のあらゆる領域を支配してきました.このセッションでは,カメラ・オブスクーラ・モデルの延長としてありながらもそこから逸脱しうる表現,またもはやそのようなモデルではとらえきれない新たな知覚のあり方や,インタラクティヴに世界や空間,そして時間を組み替えていく表現やシステムの可能性について検討します.
◇セッション2「アートと科学:光と知覚をめぐって」
午後3時30分―5時30分

パネリスト:池上高志[複雑系科学/東京大学大学院教授],エヴェリーナ・ドムニチ&ドミートリー・ゲルファンド[本展アーティスト],ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニ[本展アーティスト],ヨッヘン・ヘンドリックス[本展アーティスト]
司会:四方幸子[本展キュレーター]
自然光/人工光,可視/不可視にかかわらず,光はつねに科学において重要な研究対象であり,また観察という行為を可能にする根本的な存在としてあります.たえまなく拡張し続ける光をめぐる技術や研究は,アーティストを触発し,独自のまなざしや閃き,スタンスによって科学や社会,そして知覚に潜在する創造性がアーティストを通して可視化されてきました.このセッションでは,光と知覚を結んでいく新たな可能性をめぐってアーティストと科学者が対話を試みます. 会場:ICC4階特設会場
定員:各回150名(当日先着順)
入場料:無料(企画展をご覧になる場合は,別途入場料が必要です)
日英同時通訳付き

○ワークショップ
「作って撮ろう!WiFiカメラ・オブスクーラ」
2008年12月7日(日)
午後2時―5時
講師:アーダーム・ショムライ=フィシェル,ベングト・ショーレン
本展に展示されている《WiFiカメラ・オブスクーラ》のアーティストたちと一緒に,「WiFiカメラ・オブスクーラ」を制作するワークショップです.イントロダクションの後カメラを組み立て,完成後,カメラを手にICC周辺の電磁波を撮影に出かけます.
会場:ICC4階特設会場
定員:12名
参加料:無料(展示をご覧になる場合は,別途入場料が必要です)
参加条件:特になし(電子工作の経験は必要ありません)
入場無料,日英逐次通訳付
*見学可
お申込は,ICCウェブサイトをご覧ください.

○ギャラリーツアー 2008年12月14日(日),2009年1月18日(日),2月15日(日)午後2時―3時
定員:各回20名(事前予約不要・当日午後2時にICCギャラリーA前集合)
担当学芸員が,展覧会の内容や各作品について解説します.
展覧会チケットが必要です


東京オペラシティアートギャラリーとの相互割引
NTTインターコミュニケ−ション・センター [ICC] 受付で同時期に開催中の東京オペラシティアートギャラリー企画展の入場券をご呈示いただくと,本展に団体料金でご入場いただけます.また東京オペラシティアートギャラリー企画展にご入場時の際に,本展入場券をご呈示いただいた場合も,団体料金でご入場いただけます(他の割引との併用不可,ご本人様のみ1回限り有効).


お問い合わせ
NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
広報担当:煖エ良彰,赤坂恵美子 企画担当:四方幸子
TEL:03-5353-0800 FAX:03-5353-0900
E-mail:query@ntticc.or.jp
URL:http://www.ntticc.or.jp/